日本の刑務所内にてカームダウンスペースが試験導入
センサリーデザイン最前線 第77回
ライターの青いロクです。
来年度、日本の刑務所内に気持ちを落ち着かせる部屋、いわゆるカームダウンスペースが試験的に導入されることになったようです。強度行動障害のある受刑者に、パニックの兆候がある際、ここで気分を落ち着かせることができるよう部屋への入室を促すそうです。
読売新聞によると、法務省は来年度、東京・府中刑務所にて、強度行動障害のある受刑者のための「気持ちを落ち着かせる部屋」を複数、試験的に整備し、刑務官が専門家の研修を受けて対応する予定だそうです。
防音・遮光施した「心静める」部屋、強度行動障害のある受刑者に試験導入へ – 読売新聞
強度行動障害とは
厚生労働省によると、自分や他人を傷つけたり、物を壊したりといった激しい行動を頻繁に起こす状態を指す。生まれつきの障害ではなく、光や音など外部の刺激や、先が見通せないことへの不安や緊張などが引き金になるとされる。
この部屋では、遮光ブラインドや壁の色の変更で視覚的刺激を調整することや、吸音パーテーションや音楽によって聴覚刺激を調整することが検討されています。複数のパターンを用意し、効果的な仕様を探すようです。
刑務所では、受刑者が自傷・他害や設備の破壊などをする恐れがある場合、「保護室」に収容することがあります。しかし、暴れる受刑者を収容する際に、受刑者や刑務官がけがをする危険があります。また、保護室には自傷や設備の破損を防ぐため備品がほとんどなく、収容中は通常の作業や教育プログラムも受けられません。
精神科医の監修のもとに設置予定の「気持ちを落ち着かせる部屋」は、受刑者に興奮の兆しが見られた段階で入室を促すことで、保護室での収容をできるだけ避け、早く通常の処遇に戻れるようにすることを目指します。
この取り組みは、2025年6月に更生や再犯防止を重視した改正刑法が施行され、受刑者の年齢や特性に応じた処遇を、今まで以上に実施できるようになったことを踏まえたものだそうです。法務省は、効果を確認できれば他の刑務所でも取り入れたい、とのことです。
カームダウンスペースは近年、徐々にですが空港や公共施設などにも設けられるようになりました。しかし、どのような設備や利用方法が効果的なのか、確かめるのは容易ではありません。今回の取り組みでは、部屋の仕様を変えながら効果を検討するとのことで、受刑者本人が落ち着いて過ごせる環境づくりにつながることを期待するとともに、そこで得られた知見が、そのほかの施設でも役立つことを期待したいと思います。
青いロク
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