大阪・関西万博 感覚配慮の休憩室「カームダウン/クールダウンルーム」が少なくとも8か所以上設置

画像出典元:yogibo.jp

センサリーデザイン最前線 第72回

ライターの青いロクです。2025大阪・関西万博が4月に開会しました。このイベントでは感覚刺激に配慮した休憩室「カームダウン/クールダウンルーム」が各所に設置されています。

大阪・関西万博では、約180ものパビリオンによる、最先端の映像や音響による演出、そして大変なにぎわいが予想されます。非常にワクワクする会場になりますが、発達障害等で感覚刺激に過敏である人にとって、想定以上の刺激はとても負担となってしまいます。

そのような場合の休憩場所として、前回の2022年ドバイ万博では「クワイエットルーム」が4か所用意されました。( ドバイ万博の「クワイエットルーム」、感覚過敏な人の休憩室 )

※「感覚に配慮した部屋(センサリールーム)」は、国際的に呼称がいまだ統一されておらず、様々な呼称が用いられています。

 
 
大阪・関西万博では同様の施設を「カームダウン/クールダウンルーム」としています。少なくとも、休憩所等の共用エリア8か所に設置されているようです。

さらに、各パビリオンにカームダウン/クールダウンルームをそなえる場合もあるようです。産経ニュースによれば、協会の策定したユニバーサルデザインガイドラインでは、音や光、映像といった刺激の強い演出などがある施設に、カームダウン・クールダウンルームの設置を求めています。( 万博会場に気持ち落ち着ける「カームダウンルーム」 発達障害の子供らも来場しやすく|産経ニュース )

また、「センサリーマップ」を万博公式サイトおよび会場で入手可能であり、感覚刺激が強い展示を事前に知ることができるようです。(会場マップ | EXPO 2025 のうち、Expo 2025 公式センサリーマップ を参照)

カームダウン/クールダウンルームについて、各パビリオンがそれぞれ独自に広報しており、全容は不明なところですが、現在時点で調べてわかった内容をお知らせします。
 
 
 
万博 共用部
アクセシビリティセンター、サービス施設、休憩所 合計8か所にそれぞれ設置されています。1か所は「設置型」とあるので、ブースのようなものかもしれません。他は少なくとも1つの個室があるようです。

「西ゲートゾーン 休憩所1」には3個室を設置とあり、利用しやすいかもしれません。

各種施設について | EXPO 2025

上記のうち1か所、休憩所③ 静けさの森応急手当所では、ビーズソファブランド Yogiboがカームダウンルームを提供します。 【公式】Yogiboが万博に届ける「1坪のハグ」という新しい体験 | Yogibo
 
 
 
各パビリオンのカームダウン/クールダウンルーム

シグネチャーパビリオン
8人のプロデューサーが主導するシグネチャーパビリオンは、万博のコンセプト「いのち輝く未来社会のデザイン」を表現しています。

クラブツーリズムのサイトによれば、下記の各パビリオンにはカームダウン/クールダウンスペースがあるようです。ただし2月時点での情報なので注意ください。
・いのちの未来
・null2
・いのち動的平衡館
・EARTH MART
・Dialogue Theater -いのちのあかし-

シグネチャーパビリオン|大阪・関西万博情報│クラブツーリズム
 
 
 
パナソニックグループ館(ノモの国)
日本経済新聞(会員限定記事)によれば、パナソニックグループ館のカームダウンルームでは、パビリオン内展示の音が気にならなくなるほど防音を考慮してあり、さらにグラデーション状に変化する薄暗い照明を調整するなどして、より休みやすい環境にできるそうです。

大阪万博、「感覚過敏」でも落ち着ける休憩室 パナソニック館など|日本経済新聞
 
 
 
その他
上記以外にも、下記のそれぞれのパビリオン・各施設にカームダウン/クールダウンルームがあるようです。
(各館公式サイトの情報ではないものもあります。また、もちろん本記事で列挙した以外の場所にもカームダウンルームがあるかもしれません。)

 
 
 
感想
2025大阪・関西万博には、カームダウン/クールダウンルームが多数設置されており、またそのバリエーションも多様です。

個別のルーム・ブースについては情報が少なく評価できません。しかし、不具合があったとしても、万博は6か月にもわたる長期イベントであり、運営中の改善点がフィードバックされることを望みます。

ともあれ、今回 多数の施設が実現したことにより、日本のディスプレイ業界、とくに最大手である乃村工藝社や丹青社は、カームダウン/クールダウンルームの設計・施工のノウハウが集積されたものと思います。今後より多くの場所でのカームダウンルームの設置を提案し、そして実現していってほしいです。

(前述の日経記事によれば)パナソニックもカームダウン/クールダウンルームが公共施設や商業施設での設置が広まることを期待しています。以前TENTONTOで紹介した際のセンサリールーム担当者 三浦氏が引き続きこの事業に関わっているようで、継続的な取り組みになっていることが頼もしいです。

大阪・関西万博について、私個人はとても行きたい意欲があるのですが、遠方のため今のところ休みがとれるかわからないので少し残念です。ご興味のある方、お近くの方はぜひ、会場内でのカームダウン/クールダウンルーム利用も含め、未来の街の暮らしを体験してみてはいかがでしょうか。
 
 

青いロク