パナソニック『BOX型センサリールーム』販売へ。騒音や光からの避難場所を提供

画像出典元:読売新聞オンライン

センサリーデザイン最前線 第74回

ライターの青いロクです。パナソニックは今年の2026年より、設置が容易な「BOX型センサリールーム」を国内販売し普及を目指すというニュースです。およそ1畳の広さがある部屋となっており、防音に配慮し、落ち着く音や光でリラックスできるようになっているとのこと。本記事では調査した範囲で、関連情報についてまとめてみました。


 
 
大阪・関西万博でも多くのパビリオンに設置されたセンサリールーム(カームダウン・クールダウンスペースとも呼称される、感覚刺激が負担な人のための休憩場所)。ですが、音や光に配慮した空間にこだわった改装を行う場合、それなりの費用がかかってしまいます。
パナソニックは、改装工事より安価な選択肢として、現地組み立て・設置式のボックス型のセンサリールームを、株式会社Lean on Meと共同開発したとのことです。
担当の三浦美賀子氏はセンサリールームについて、「万博を契機に認知度が高まっており、誰でも安心できるインフラ空間として広めていきたい」と意気込みを語ります。

 
 

「BOX型センサリールーム」概要
寸法 奥行き105cm×長さ190×高さ210cm
設置方法 現地組み立て式、キャスターつき
防音性能 10デシベル程度
備考 消防法に対応(スプリンクラーなど)
価格 1基 300~500万円

画像出典元:PR TIMES


 

類似ブースとの比較

オフィス、あるいはコワーキングスペース等に設置されるブース家具の既存例を調査しましたので、パナソニックのBOX型センサリールームと比較してみました。

仕事用の個室ブース
・1人用ブースとしては狭め(1m四方程度?)
・椅子やデスクが休憩には不向き
参考:テレキューブ| 株式会社ブイキューブ

楽器演奏用のブース
・徹底的な防音だが、空調機能に問題があるかも
・BOX型センサリールームは残響特性に配慮しているので、10dBという数値以上に静かに感じられるかも
・外の騒音に対処するのか、内部の音を漏れなくするのか、目的が逆
参考:株式会社ヤマハ

仮眠用ブース
・防音や、落ち着ける姿勢をとれることなど、性能、用途はセンサリールームに近い。
・設置目的が違う。仮眠を取るための施設であり、一時的に落ち着く場所ではない。一方、センサリールームは外界のストレスから逃れることが目的。
・利用者の状態が違う。センサリールームは、極端に言えばパニック手前にまで追い詰められたマイナスの状態を0に近づける場所のため、仮眠のような能動的に休息を取れる状態とは質的に異なる。
参考:giraffenap|広葉樹合板株式会社
 
 
 

まとめ

パナソニックのBOX型センサリールームは、近年需要の高まりつつある「休憩」を主目的としたブース家具で、特に自閉症スペクトラム障害、感覚過敏の人々向けにより特化して開発されています。
私の想像では、もし施設に発達障害者向けのサービスとして導入する場合、仮眠用ブースがBOX型センサリールームの直接の競合と思われましたが、設置場所や、利用者の状態の違いから、独自性があるように感じました。記事から読み取れる情報からでも、入室後にすぐ利用できるようになっているなど、弱っている人が使うことを想定しているように思われます。

画像出典元:PR TIMES

読売新聞オンラインの記事によると、BOX型センサリールームは、まずオフィスでの利用を想定しているようでしたが、PRTIMESでのニュースリリースには「将来的には、駅や空港、ショッピングモール、アミューズメント施設などへの設置を想定しています」とのコメントがあり、国内のパブリックスペースへの普及意欲を感じます。
BOX型センサリールームは、防音性や消防法への適合といった高い性能を備えるだけに、300万円からという個人が取得するのは現状難しい価格の製品ですが、ぜひ多くの場所に設置されるようになってほしいと考えます。
 
 
青いロク
 
 
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