コラム:かくれんぼの修行

私は人に声をかけられたり、見られたりするのがニガテだ。名前を呼ばれるとびっくりして心臓が跳ねる。私は背景に溶けていたい。誰にも見つけて欲しくない。ドラえもんの秘密道具の石ころ帽子を被っていたい。

誰にも自分の気配を悟られたくないという願いは幼稚園生の頃から強かった。同い年の子達は鬼ごっこやサッカーなどの活発に体を動かす遊びが好きだったように見えた。だけど、私はかくれんぼが大好きだった。じっとして自分の気配を消し、鬼の子が探しに来てくれるのをひたすら待っているのが楽しかった。待つ時間が長くても全く退屈には感じなかった。
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