失敗はブラジャーをも忘れさせる
Photo: 斧
私は慣れない環境や新しいことに対しての適応能力が群を抜いて低い。
「人は失敗を経て学ぶ」という考えがある。私は新しいことに取り組んだ時、必ず失敗をする。そしてその失敗はかなりの規模の大きさを誇る。大きな失敗というのは次の成功につながると感じるし、私自身一度失敗したことは二度目以降絶対にしないという自信はある。しかし、現実というのは厳しいものである。私の失敗の規模が大きすぎるが故に、成功につながることが約束されている”次”がやってこないことが多々あるのだ。これは本当に小さい頃からさほど変わっておらず、むしろ年々失敗の度合いは悪化しているようにも見受けられる。
最近の引越しでも新しい街に馴染むことができず、新居では様々な動揺を繰り返してしまっている。
ある日は買ってきた卵をワンパック家の前で落とし、エコバックの中でいくつもの卵黄と卵白が入り混じった。一緒に買った豆乳パックと大根が少し黄ばんだ。またある日には、ipodを流しながらもやしを茹でる”ながら茹で”をしていたところ、ひょんなことでお鍋にipodが落下してしまう。取り急ぎ救出しようと目の前にあったザルを使いipodを救ったものの、すでに音を失っていた。もやしは何が起こったか分かっていないようだった。
先日は人生で一度も欠かすことなく着用してきたブラジャーを忘れた。幸いパンツは履いていた。
この動揺はいつまで続くのだろうか、早く新しい街に慣れたいものである。
わ田かまり