焦げを味方に失敗を

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Photo: Koji Nishida

食べ物は人を幸せにも不幸にもする。食べ物における不幸は、食べ物における幸せから生まれるものである。

人間と食べ物の関係は非常に密接なもの。最近はめっきりしなくなってしまったが、私は料理をするのが好きだ。というより食べ物を食べることが好きだからやむを得ず料理をすると言った方が幾分正しい。料理の腕は中の上、お菓子作りよりも、おかずや主食を作る方が好きである。

私は家庭環境の影響で、小さい頃から料理をしていた。それは生きるための手段であり全て自分のために行うもの。誰にも見られることも見せる機会もなく、どんどん自身の内面世界を満たすためだけに料理を行った。以前のコラムでも書いた通り、基盤がどこか欠けており不器用なため、初めて作る料理では、必ず失敗をする。が、その失敗を糧に分析し、次は見事な成功を収めることができる。

例えば、魚を焼くにしても、魚ごとに1回ずつ失敗せねばならないらしく、鮭を焦がし、サバを焦がし…私はありとあらゆる魚を焦がした。もちろんうまく失敗を咀嚼できず2回焦がしてしまった魚もいるが、だいたいが1回こがせば塩梅がわかるように私はプログラムされているようだ。今思えば他の子供と比べると少しばかり焦げを多めに食べて育ったかもしれない。焦げを食べるとガンになる、そのような脅し言葉も浴びせられたが、自分の失敗を食べてこそ、次に生きるもの。私は目先の成功にしか目がなく、もはやガンなど恐れてはいられなかった。

21歳、私は今ほとんどの魚を焼ける自信がある。しかし、あくまでも素焼きの話だ。味噌煮や西京焼きともなると話はまた変わってくる。また、幸いなことにガンは発症していない。今まで消費した焦げたちはもしかすると私の失敗を見守ってくれているのかもしれない。人は誰しもが何らかの使命を持っている。私は焦げを味方に失敗し続け、精進し続けるというものが使命の一つなのかもしれない。

わ田かまり

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