ぎゅっと抱きしめてくれる服が登場

snugvest

画像出典元:Snug Vest 様 http://www.snugvest.com/

センサリーデザイン最前線 第10回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。

このコーナーでは、大学でデザインを学んだ私が見つけた、最新のセンサリーデザインをご紹介します。第10回はASD(自閉症スペクトラム)を持つ方向けに開発された、気分を落ち着かせる圧迫刺激を手軽に得られるベスト、スナッグベスト(Snug Vest)をご紹介します。

開発者のリサ・フレーザーさんは、このコーナー第1回でご紹介したビーグルのデザイナー、レオ・チャオさんと同じカナダのエミリー・カー美術大学出身で、卒業制作の際にこのスナッグベストのコンセプトを発明されたそうです。

http://www.snugvest.com/pages/about-snug-vest

私なりに和訳してみましたので、よろしければこちらをご覧ください。

スナッグベスト

スナッグベストは圧迫刺激によるセラピーを提供するための膨張式のベストです。胴体への安定した圧迫刺激は不安を和らげるだけでなく、集中力と注意力を増進させることにも役立ちます。高い水準の不安、ストレス、感覚障害を持った方へ特に効果があります。

ハグに似た締めつけを与えるために、圧迫刺激はスナッグベスト内の側面、肩、背中へ均一に分配されています。スナッグベストは取り付け式のハンドポンプで簡単に膨らますことができます。圧力を安全に調節できるため、使用者のニーズにぴったりと合わせることができます。

スナッグベストはどこが違う?

・可動域を制限せず、かさばりません
・自分で圧力を管理できるため、ひとりで使用できます
・微妙な圧力の調整が簡単にできます
・簡単に着脱可能ですが、脱げやすくありません
・胸部や腹部を圧迫しません
・ファッショナブルで品のある、控えめなデザインです
・ほとんどいつでもどこでも着られます
・胴体へ均一に分配された圧迫刺激を与えます
・子どもの成長に合わせて調整できます、また様々な方に合わせられます
・洗濯が容易です
・圧力を変える機構によって、(体が圧力刺激を繰り返し受けることによる)慣れを避けられます。

スナッグベストは落ちつきを得る用途として光や気を散らすものを遮るためのフードが付いています。そしてポケットはさらに快適な感覚を提供します。このスタイリッシュなベストは個別的でインクルージョンを促進します。丈や幅が調節できる機構により、スナッグベストは使用者の成長や、セラピー用として様々なサイズの使用者へ合わせることができます。胴体への安全な圧迫刺激を均一に分配するため、スナッグベストは特許出願中の最先端の溶着技術工法と安全機構を使用しています。

着るセンサリーデザインの極致

スナッグベストはASDを持つ子ども達の感覚の違い、圧迫刺激を他の人よりも欲するという点に着目したセンサリーデザインです。触れられることは嫌がるにもかかわらず、抱きしめられるような刺激を求めることの多いASDを持つ子ども達のニーズを衣服によって解決を図るこのデザインは、ジレンマを解消する素晴らしいアイデアです。

見た目もすっきりしていて医療器具らしさを抑えてあります。使用したくないときは空気を抜けば、通常のフード付きベストとして着ていられます。肩と脇腹のベルクロによるサイズ調整と胴体の全面及び首周りに負荷をかけない膨張機構は、沢山の試験を重ねて設計されていることを感じさせます。

完成されたセンサリーデザインの実践例として、スナッグベストは現状におけるひとつの到達点だと私は思います。このようなセンサリーデザインに日本でも関心が高まり、その発展に繋がっていくことを、私達TENTONTOは微力ながら応援させて頂きます。

公式サイトに60秒の紹介ムービーがありましたので、ぜひこちらもご覧ください。