感覚刺激で安心を生み出すデザイン

beagle

画像出典元:Yanko Design 様 http://www.yankodesign.com/

センサリーデザイン最前線 第1回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。

このコーナーでは、大学でデザインを学んだ私が見つけた、最新のセンサリーデザインをご紹介します。第1回は、カナダにあるエミリー・カー美術大学の学生、レオ・チャオさんのビーグルという作品です。

http://www.yankodesign.com/2009/03/19/a-hood-that-will-make-all-the-difference/

私なりに和訳してみましたので、もし宜しければこちらの文章もご参照下さい。

すべての感覚の違いを作り出すフード

ハリウッド超大作になってスポットライトの当たった、あまり知られていない病気や体調があります。例えばレインマンの放映後、私達は自閉症を皆認知しました。ストーリーの中で、どのように自閉症の人々が社会的なインタラクションとコミュニケーションに問題を経験しているかを私達に伝えました。彼らは特に幼少期において、刺激が感覚障害によって誇張されるため、ささいな音にすら心がかき乱されます。近年の調査では、音楽、アロマセラピー、良い手触りのおもちゃなどの刺激が彼らの不調の緩和に役立つとされています。このビーグルというスカーフ・フードは、このような刺激で彼らをサポートするプロダクトです。

このスカーフは、ぴったり心地よく包まれる感じのするフードの中の、子どもの耳のところにスピーカーが入っています。そしてスカーフと一体になったポケットには、その人に合わせて調整されたアロマパッチが入っています。ビーグルは、自閉症の子どもが音楽や香りをいつでも使いたいときに使うことによって、気持ちを落ちつけるのに役立ちます。

デザイナー:レオ・チャオ

ファッションとしてのセンサリーデザイン

このデザインで私がとても面白いと思ったのは、変形する道具になっている点です。心がかき乱された時にだけセンサリー・スティミュレーター(感覚刺激物)を使えるようにするため、普段はスカーフのように首に巻いたり、垂らしてポケットに手を入れたりできるようになっています。いつもはあくまでファッションとして着ることが出来て、非常時には自分の好きな音楽、香りで自分の気持ちを包み、落ち着けます。かき乱された心を自分にとってポジティブな行為をすることと、センサリー・スティミュレーターの効果の両面によって安心を得られます。

レオ・チャオさんは、自閉症を持つ子どもの方へ向けてこのビーグルをデザインされています。私はこのビーグルが医療補助具の領域を超えて、ASDの方から発信されたファッションになるとステキだなと感じました。