他者のごくわずかな愛の話
何年か身を置いていた家を去る事になりまして、
引越しの準備に追われています。
私は新品の家具や家電が苦手で
人が使ったものでないと
なんだか心が落ち着きません。
洋服や小説などもそうなのですが
私の私物のほとんどはもともと他人の元にあったものです。
全く知らない他人のものが自分のものになったことで
捨てることには少なからずなんらかの未練が
含まれているな、とたまに感じる節があります。
もちろん本当に邪魔になったからと捨てる流れも
あるかとは思うのですが、
今まで自分のものだったものを
わざわざ捨て、目の前から消滅させることは
やはり微量の愛を感じます。
きっと捨ててから時間が経って
そんなこんなで、私の身の回りには
他人の少し解りにくい微量の愛が含まれたものによって
少し潤っています。
これは、きっと幸せなことだと思います。
わ田かまり