OCDのコメディアン、映画を作る

youth
(土) Y = ユース(青春)

熱い思いを胸に活動する、テントントさんのハートフルなチャレンジ。
 
 
Jon Richardson

画像出典元:The Guardian 様 http://www.theguardian.com/

テントントさんがやってみたコト 第5回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO メンバーのYutaniです。このコーナーでは、多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、感覚の違いを多くの人へ伝える活動をされている方々をご紹介していきます。

第5回の今回は、イギリスのコメディアンJon Richardsonさんをご紹介します。Richardsonさんは英・Channel4のクイズ番組「8 Out of 10 Cats」で2011年から司会を務める人気コメディアンです。10代の頃から「あらゆるものを整頓した状態にしておきたい」という強迫観念に悩まされてきたRichardsonさんは、OCD(強迫性障害)と診断された人たちの元を訪ねて周り、自身の障害と向き合いました。その模様は2012年、ドキュメンタリー・テレビ映画「A Little Bit OCD」として公開されています。

英・ガーディアン紙は、2014年9月にRichardsonさんへのインタビューを行っています。映画への出演を通して、彼の心境にはどんな影響があったのでしょうか。


Jon Richardson: ‘I didn’t have any sex, I didn’t do any drugs’ http://gu.com/p/4xeyq/stw

最近では、彼は自分の事をより気楽に考えるようになった。長年、彼は人間関係を保つことはできないのだと信じていたが、親交のあったコメディアンのLucy Beaumontと結ばれ、長年苦しんできたOCDと納得できる形で折り合いを付けた。2012年にChannel4で放映されたドキュメンタリー「A Little Bit OCD」の撮影は、彼にとって「今まで受けた中で最良のセラピー」だったという。

未だにOCDの再発はあるが、それは彼にとっていいネタ元になっている。

「僕がLucyと一緒に、おしゃべりしながら駅まで歩いているとき、幸せで、僕のこだわりの一切を忘れられるって気付いたんだ」と彼は言う。

「だけど彼女が電車に乗って、僕がひとりで歩いて帰っているとき、どれだけの苦しみに今まで耐えてきたかを考え出してしまう。こういう考えが人を襲うのは、その人がひとりきりになっている時なんだ」

自分の悩みを他の人に話して、気持ちが楽になった、救われたという経験がある人は多いでしょう。ですが、OCDの症状である強迫観念には、本人にすら理由を説明できないような理不尽なものも多く、共感を得ることが難しい場合もあります。僕自身も「ビーフステーキを食べてはいけない」という強迫観念があるのですが(コラム:ステーキ屋に行けないを読んでみてください)、そのことを人に話して、却って嫌な思いをしたことが何度かありました。

強迫観念に共感をしてもらうのは難しいかもしれないが、理解や認知をしてもらうだけで嬉しいのに、と僕は常日頃から考えています。Richardsonさんが映画に出演した動機も、まさにそこにあるのではないかと感じました。人に何かを伝えるとき、笑いはしばしば有効なツールとなります。コメディアンである彼が、自分のもつ奇妙な強迫観念を映画という形で発信することは、OCDのことを人々に認知してもらうのはもちろんのこと、彼が自分の強迫観念を冷静に見つめる上でも大きな効果があったのではないかと思います。

「A little bit OCD」は、残念ながら現在DVD化などはされておらず、本国イギリスのテレビ放送でしか見ることができませんが、彼のライブツアーの様子を収録したDVD「Nidiot Live」は、amazonで発売中です。ぜひチェックしてみてください。Richardsonさんの活動については、今後もこのコーナーで引き続きご紹介していきます。

Richardsonさんの公式サイト「Jon Richardson」 – www.jonrichardsoncomedy.com
 
 
 

~こちらは2015/04/21公開の記事の再掲載です~