アスペとフリークライミング
(日) S = シャイン(輝き)
テントントさんの持つちょっと変わった好奇心にスポットを当てます。
テントントの僕らの目が輝くもの 第6回
ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。
このコーナーでは、ASDとADHDを持つ私ユミズが感動したもののうち、同じようにASDやADHDを持つ友人たちに紹介して評判が良かった情報をお伝えしていきます。
第6回に取り上げるのは、ロッククライミング。今回は自閉症・アスペルガーのためのクライミングセラピー(AACT)を開催されている、イギリス、ハンプシャー州にお住まいのニッキー・ブラウンさんの記事、『なぜインドアロッククライミングが特別なニーズのある子ども達に良いのか?』をご紹介します。
http://www.aact-climbing.com/why.htm
私なりに和訳してみましたので、よろしければこちらをご覧ください。
なぜインドアロッククライミングが特別なニーズのある子ども達に良いのか?
自閉症スペクトラムのある子ども達には、例えば粗大運動と微細運動にむらがある、過度に活動的だったりそうでなかったりなどの多くの特徴が共通してあります。コミュニケーションやソーシャルスキルに困難を抱え、そして常同性や限定的な興味を伴います。自閉症を持つ子ども達はまたセンサリーニーズを持っています。しかし彼らが学習を通してムーブ(クライミングの動き)をすれば、確実に沢山の情報を実際に覚えるでしょう。ロッククライミングはとても触覚的で、それはホールド(壁にあるでっぱり)や壁のテクスチャーの両方に由来します。ホールドは様々な形で鮮やかに彩られ、視覚刺激となります。
クライミングはクロスパターン動作(右手と左足、左手と右足を同期させるような動作)を奨励するようなサポート言語です。前庭システム(バランス感覚)と自己受容性感覚(身体空間認知)の発達を促します。クライミングは全身の筋肉の調子や微細運動と粗大運動の能力を進歩させ、半球間統合(左脳と右脳間の伝達)させるすばらしい恩恵があります。クライミングは問題解決と独力での思考力を奨励し、半球間統合を促進させます。クライマー達はクライミングの楽しさや、ビレイヤー(ロープでクライマーの確保をする人)との絆ゆえに、コミュニケーションをするモチベーションが出てきます。全てのクライミングは安全性と養成的な環境への信頼の上に成り立っています。それゆえに、ロッククライミングはセラピーに関するあらゆるものを取り揃えている、遊びの皮をかぶったセラピーです!
壁を登ることのしあわせ
実は私は、ロッククライマーとして試合に出たりインストラクターをしたりと、およそ青春と呼ばれそうなものをほとんどクライミングに費やした人間です(上の写真は11年前の私)。はじめて人工の壁を登ったとき、自分の欲しいものが得られる場所を見つけたような、強烈な確信がありました。ASDとADHDを持つ私ですが、ニッキー・ブラウンさんの文章のすべてに共感します。
地表から11mの高さまで自分の力で登ってきたとき、周りに自分と壁以外なにもないこと、自分の意思ひとつで全てが決まる(手を離せば落ちてしまう、登らなければ終わらない)ことに気がつきました。つまりそれは、誰にも邪魔されない自分と自分の定めた課題に向き合える場所だということです。今思えば、私はそんなフリークライミングの中のセンサリーデザインの要素に感動して、ハマったのだと思います。
ニッキー・ブラウンさんの言うインドアクライミングには、最近はやりのクライミングジムでのボルダリングも含まれます。人工壁だけでなく、自然の中でもインドアクライミングと同じスタイルで登ることをフリークライミングと呼びます。フリークライミングはロッククライミングの中で現在最も主流の遊び方で、ワールドカップも開催され、日本の選手が世界の注目を集めるスポーツでもあります。
フリークライミングを小さな子どもでも体験できる施設は日本でも多くなりました。また、何歳からでも始められる手軽な遊びでもあります。まだやったことのないテントントさんはぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。見た目よりも安全で、とても気持ちの良いものですよ。