ゲーム『セカンドライフ』で、ASD者同士のコミュニケーション
画像出典元:朝日新聞GLOBE 様 http://globe.asahi.com/
センサリーデザイン最前線 第40回
こんばんは、TENTONTOメンバーのmarfです。最新のセンサリーデザインの話題をお届けするコーナー、センサリーデザイン最前線。本日は自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人たちの仮想世界での交流について、朝日新聞GLOBEよりニューヨークにお住まいの社会学者・池上英子教授へのインタビュー記事をご紹介します。
仮想空間ではコミュニケーションも円滑に 自閉スペクトラム症と「セカンドライフ」(2017年4月6日掲載)
http://globe.asahi.com/feature/side/2017040500004.html#
米・リンデンラボ社が運営するネット上の仮想世界『セカンドライフ(Second Life)』。この仮想世界では自分の分身=アバターを通して、他のプレイヤーと気軽な会話を楽しめます。同じ趣味を持つ人たちなど、さまざまな意見交換できるコミュニティがあるなか、自閉症スペクトラム障害(ASD)を抱える当事者同士の情報交換としてのコミュニティもあるそうです。
米・ニュースクール大学大学院社会学部の池上英子教授は、こういった当事者のコミュニテイに現在まで100回以上参加し、約100人のアバターと交流されています。ASCの人はよくコミュニケーションが苦手と見られがちですが、セカンドライフ内ではスムーズに会話が行われていました。
その理由として、現実世界と違い、
①仮想現実のアバターには微妙な表情やニュアンスが搭載されていないので混乱しにくいこと
②自分のために感覚刺激を整えた環境からアクセスするので安定できること
を、あげられています。
①、②ともに、テントントでご紹介してきたセンサリーデザインの要素を満たしていて、セカンドライフ内で自然発生的にこういったコミュニケーションの場が生まれていることになるほど、と思いました。また、発達障害の当事者ではない池上教授の視点から感じられた、発達障害当事者同士のコミュニケーションの”ある種不思議な部分”が興味深く、感覚の違いについて考えを深められるインタビューでした。
こちらのセカンドライフでの交流について詳しく書かれた池上英子教授の著作・『ハイパーワールド 共感しあう自閉症アバターたち』も入手しましたので、こちらも合わせて読み進めてみたいと思います。
marf