床屋さんの小さな親切から学ぶ、センサリーなソーシャル・サービス
テントント先輩のプチサピエンス 第13回
先輩タキス(画像左、以下タ):皆さんこんばんは。テントントさんの暮らしに役立つちょっとした知恵=プチサピエンスを紹介するコーナー、テントント先輩のプチサピエンス。テントント先輩ことユミズタキスです。
後輩るうが(画像右、以下る):後輩こと飛鳥井るうがだよ。みんな、おひさしぶり~。
タ:るうがちゃんは久々の登場ですね、
る:もうすっかり暑くなってきちゃった。今日はどんな話題?
タ:今日はいつもと少し毛色を変えて、海外のニュースをお届けしようと思うんです。
る:あれ?それだったらセンサリーデザイン最前線の方がいいんじゃない?
タ:それもそうなんですが、今回取り上げるのは小さな親切、の話なんですね。
る:へー、そうなんだ。どんな親切なんだろ。
タ:今回はアメリカのテレビ番組Inside Editionより、自閉症スペクトラムをもつ男の子を手助けしてあげた床屋さんの話。日本語に訳してみましたので、早速お読みください!
親切な床屋、車の中で散髪して自閉症ティーンの落ち着きを助ける
マヤ・チャン 2017年6月3日
ある親切な床屋が16歳の自閉症者に、自家用車内―彼にとっての安全な空間―で散髪をし、気持ちを和らげることを助けた。アイルランドのイヴァン・オドワイヤは、これまでずっと床屋ドンチャ・オコネルのところへ通っている。しかしこの月曜、イヴァンは大変な一日を過ごしていた。
この言葉が喋れず、重い自閉症スペクトラムをもつティーンは、非常に敏感で、床屋で座っている間も動揺してしまう。「私は(いつも)、爪を切ったり、歯を磨いたり、髭を剃ったりを、彼が寝ている間にする必要があるんです。」と、イヴァンの母、デアドラ・オドワイヤはInsideEdition.comに語る。「私達が床屋の席に座らせて、ドンチャがバリカンで一剃りしたら、イヴァンは起きてシートから下りたんです。」
オドワイヤ夫人は、彼女の長男ディランがイヴァンを椅子に戻らせるよう手伝うと言ったのだが、イヴァンは明らかに不安がって動揺していた。
「メルトダウンを避けるために一番いいのは、彼を車に乗せることだということはわかっていました。彼にとって幸福な場所なんです。」とオドワイヤ夫人。
しかし母は、彼の息子を散髪の途中で帰らせたくなかった。そのときドンチャは、自家用車内で散髪をフィニッシュさせることを提案した。
「イヴァンは車に乗りこみました、そして散髪を続けたのですが、問題ありませんでした。」とオドワイヤ夫人。「彼が散髪を受けている間、イヴァンがハッピーだったことは良かったです。私達はメルトダウンを避けました。」
オドワイヤ夫人は、自閉症に対処している家族にとって困難な暮らしに対しての、ドンチャの行為に感謝した、と話した。「どなたかが私の息子を苦労も惜しまず助けてくれる、と考えることは、彼が快適に、安全に感じられることを作り出します。散髪のような一見小さな、しかしスペクトラムをもつ多くの子どもにとって非常に大きなことについて、とても嬉しかったです。」とオドワイヤ夫人。
る:イヴァンくんは感覚が鋭くって、慣れないところでじっとしてるのがすごくつらいんだねー。
タ:いつもは寝ているときに散髪していたのかな?今回はバリカンにビックリして飛び起きちゃったんでしょうね。
る:髪を切るのってたしかに落ち着かないよね。美容師さんとお話するのも大変だし。
る:床屋さん、常連さんてのもあったんだろうけど、自分から車でバリカンしましょうかって提案したのは、すごくやさしいよね。
タ:落ち着かせるために手を握ってるお兄さんも、優しそうにみえますね。
る:常識で考えるとへんてこな状況だけど、お店の人が起点を利かせてくれたおかげで、丸く収まるってことになったんだよね。しゃくし定規な対応よりも、こういうのってすごくありがたいよね。
タ:感覚が鋭くて困ってるのはイヴァンくん本人ですし、ご家族の工夫に助けられていることプラス、今回のような理解ある人たちの小さなサービスが、まちがいなく彼の心の平穏につながっていると思います。
る:こうしなきゃ、にとらわれない、頭の柔らかさもけっこう重要かも。
タ:そうですね。頭でっかちに大仰に取り組まれるものよりも、実はこうした小さな親切の方が、実際はより当事者にとってありがたいセンサリーなソーシャル・サービスなのかもしれませんね。