コラム:テントントさん、みんなであそぶ。

コミュニケーションのうまくいかなさ。ASDであれ、ADHDであれ、発達障害をもつひとの大半は抱えている、ひとりでないときに生じるこの手の困難は、たとえ息抜きであそぶにしたって関係してくる。

発達障害者やグレーの人は相対的に、ひとりあそびのうまいひとが多いと思う。どこから見つけてきたのというような趣味にハマっていたり、やりこんでいたりする。それ自体はいいことだけど、ひとつの遊びで得られる豊かさには限りがあって、晴らしたい気の種類によっては、有効でないこともありそうだ。

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この連休は、テントントメンバーでゲームをして遊んだ。プレイステーション4を使ってオンライン上で集まったのだ。自分の部屋だともちろん外よりもストレスが少ないから、こういった通信であそぶのは当事者向けといえる(実際にあって遊ぶのはもっと難しい。2月にテントントメンバーでスノボに行った際のことは、TENTONTOno.8をご覧アレ)。

遊んだゲームは『ダークソウル3』。メンバーで定型発達のデザイナー、原からあそぼうあそぼうと誘われていたタイトルだ。また、同じくメンバーでADHDのなるやえにしの最愛のゲームということもあり、一緒にあそぶならこれだろう、と目星はついていた。

一昨日はYutaniの活動休止中、TENTONTOwebの更新をどうするかといった差し迫ったミーティングをGoogleハングアウトでしていた。ミーティング後、メンバーのTEHOがPS4をもっていることを思い出したので誘ってみると、シリーズはやったことがないがアクションゲーム好きとのことで食いついてくれた。その場で私とTEHOがカード決済。時間ゼロであそびの準備が整うのも、飽きっぽかったりイライラしやすい当事者同士のあそびではとても助かる。

その後私はTENTONTOwebの更新であそべなかったものの、原とTEHOとで協力プレイに成功。昨日は私となるや、そして夜からは原も交えて協力プレイであそんだ。『ダークソウル3』は美麗なゲームで目にもストレスが少ないし(お化け屋敷みたいな要素もあるのでびっくりすることもあるけど、協力プレイで上手い人がいればそれも安心)、なにより一緒にファンタジーの世界を旅をしてる感が強い。剣の達人や魔法使いといった”能力者”になって、一緒に仲間と困難を乗り越える。自分たちのコミュ障さを忘れる瞬間だ。

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もちろん各人の生活スタイルが独特だったり、気持ちの上での気軽さを持ちにくいメンバーもいるから、これだけ環境が整ってるとはいえ、それでもふらっと集まってワイワイあそぶのはむずかしい。ただ、みんなで一緒にあそぶがゼロから1になったときは、私の中ではまちがいなく日常の彩りになっている。きっとメンバーもそうだろう。

コミュ障だから一人で居続ければいいといった極論や、誰かが譲歩に譲歩を重ねた上で成り立つような関係の上での”一緒”感。それらよりも、お互いの感覚を知り合いながら、可能な限りベターな関係をつくっていく。発達障害当事者にとってのセンサリーな日々を考えるときに、知り合うこと、付き合うことといった人らしいことにも、”らしいスタイル”が見いだせたら。そんなことを、ダークソウル3の美しい石畳の世界を駆け回りながら思う。

ユミズタキス