ADHDデジタル療法アプリ 特例で使用可能に

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画像出典元:Business Wire https://www.businesswire.com/

センサリーデザイン最前線 第58回

ライターの青いロクです。本日は、コロナ禍のさなかに暮らす米国のADHD(注意欠陥多動性障害)児にとっての明るいニュースをお届けします。

アメリカで医薬品としての認可を目指していた、ADHD児向けデジタル療法アプリ「Endeavor(エンデバー)」。このアプリが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大防止策として医療関係者との接触を減らす新しいガイダンスのため、特例で使用可能になったとのことです。

Endeavor(エンデバー)は、Akili Interactive Labs(アキリ・インタラクティブ・ラブズ)が開発したアプリ。このアプリはAKL-TO1、Project EVOともこれまで呼ばれてきました。

 
下記はビジネスワイヤに掲載されたニュースの抄訳となります。
アキリ、FDAのCOVID-19施行裁量ガイダンスに基づき、エンデバーのデジタル注意療法が、注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供に利用可能になったことを発表|business wire
 

アキリは4月22日、EndeavorがADHDの子供とその家族に使用可能となったことを発表した。
本製品はゲーム体験を通じて提供されるデジタル療法であり、注意力に問題のある不注意優勢型 または複合型のADHDと診断されている8~12歳の子供たちを対象に、測定される注意機能について改善が行えることが臨床研究プログラムで示されている。
 

今回のリリースは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックの中で、ADHDを含む精神疾患のための、低リスクで臨床的に検証された、デジタルヘルスデバイスへのアクセスの必要性を認識したFDAによる、新しいガイダンスに対応している。
 

「現在の環境では、注意散漫性を高め、集中力を維持・整理することが難しくなっている。注意力の問題を持つ子供たちにとって、毎日の困りごとは悪化し、サポートシステムの多くはもはやアクセスできません。」――ADHDプログラムのディレクターであるスコット・コリンズ教授は述べる。

エンデバー・トリートメント・システムには、エンデバー、アキリ・アシストパーソナルサポートサービス、ADHDインサイトコンパニオンアプリが含まれる。保護者が子供の行動の経年変化を追跡し、よりよく理解することができるように設計されている。エンデバーはモバイルデバイスでApp Storeからダウンロードでき、追加の機器を必要としない。(訳注:記事執筆時点では米国内でのみ利用可能となっています)
 

エンデバーを使って、患者はキャラクターを操り、障害物を避けたり、ターゲットを集めたりしながら様々な世界を旅し、新しい世界のロックを解除したり、賞を獲得したりする。エンデバーの魅力的な体験は、エンゲージメントとコンプライアンスを促進するように設計されている。
個々の患者のニーズに合わせてカスタマイズされた療法の体験により、難易度は自動的に調整される。セッションを終えた患者の進捗状況を秒単位でモニタリングし、患者に最適なレベルへのチャレンジを継続的に行い、パフォーマンス向上を促進する。
 

エンデバーの臨床試験
アキリは、ADHDと診断された600人以上の子供たちを対象とした5つの臨床試験において、エンデバーを厳密にテストし、対照群となるビデオゲームコントロールアプリと比較して統計的に有意な改善を示した。

 

なお日本国内では塩野義製薬がこのアプリの開発・販売権を持っており、2019年度中に治験を始めたようですが、いまのところ日本での提供については情報が見当たりません。
 

心の病 に「デジタル薬」 アプリが禁煙や認知症治療|日本経済新聞

塩野義製薬は注意欠陥多動性障害(ADHD)と呼ばれる子供の発達障害を治療するゲームアプリの治験を19年度中に日本で始める。米アキリ・インタラクティブ・ラブズが開発したアプリで、塩野義は日本と台湾での独占販売権を持つ。

 
ゲーム画面を見ると、かなり楽しそうな印象で興味を引きました。アキリは他にASD(自閉症スペクトラム障害)児向けのデジタル療法アプリも開発しているので、今後も期待したいところです。

私はADHDではなく、当アプリを必要とするADHD児たちの気持ちがわかるとはいえません。しかし、ASD当事者であるため、生活の繰り返しのルーチンとペースを変更することはとても負担に思っており、このアプリのような素敵な療法システムがあれば、これまでよりも楽に過ごせるようになるのではと思いました。
 
 

青いロク