自分の感覚をしまいこむデザイン
画像出典元:Kawamura Ganjavian 様 http://www.studio-kg.com/
センサリーデザイン最前線 第3回
ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。
このコーナーでは、大学でデザインを学んだ私が見つけた、最新のセンサリーデザインをご紹介します。第3回は、徐々に日本でもブームになりつつあるオーストリッチピローをご紹介します。スペイン出身のケイ=ポルティーヤ・カワムラさんとイラン人のアリ・ガンジャビアンさんのデザインユニットによる2012年の作品です。
ダチョウに教えてもらう
2人のサイトにオーストリッチピローの解説文が掲載されていました。
http://www.studio-kg.com/#/ostrich/
私なりに和訳してみましたので、もし宜しければこちらの文章もご参照下さい。
オーストリッチピロー(ダチョウ枕)
昼寝のためのポケットピロー 2012年
働き方は絶えず進化しています。私達は次第に沢山の時間を職場環境で過ごすようになりました。それは私達が同じ場所で働くことと休むことを両立する必要が出てきたことを意味します。いくつかの文化圏ではこのような考え方を自然に取り入れているものがあります。しかし一般的には、職場はこのような新しい働くことと休むことのパラダイムにめったに適合していません。
ダチョウ(オーストリッチ)は、暖が取れ楽に快適な昼寝ができるような最小の環境を提案しています。オーストリッチピローは枕でもクッションでもなく、ベッドでもなく、服でもなく、しかしそれらの要素を少しずつ兼ね備えたものです。オーストリッチピローのやわらかな洞窟状の内装のシェルターにより、私達のデスクから離れる必要なく、私達の頭・手(精神・感覚・身体)を少しの間隔離します。
いつでもどこでもリラックス
この文章の中で言われている文化圏は、ケイ=ポルティーヤ・カワムラさんの出身地スペインのことでしょう。シエスタという、夜遅くに寝て朝早く起き、昼に昼寝をする文化があります。近年アメリカのIT業界から生まれた文化でも、シエスタのような仕事スタイルに注目が集まっています。
鳥類の睡眠時に取る頭部を自分の背の羽に埋める仕草にヒントを得て、自分の感覚器(顔・手)を硬質な職場環境から枕に包まれた軟質な環境に移すことで、新しい仕事のスタイルに自分を適応させることができる、という面白いアイデアです。机に伏せて寝たときのゴツゴツして冷たい感じを、大掛かりな設備なしに取り去ることが出来ます。感覚感受性のずれからリラックスの困難なASDやADHDの方には、特におすすめできるのではないでしょうか。私自身は触覚が非常に敏感なので、手を枕の中に突っ込めるようになっているデザインがとても心地よさそうです。
広がるダチョウワールド
このオーストリッチピローは世界中で注目が集まっていて、派生商品も沢山登場しています。私ユミズはまだ使ってみたことはないのですが、ぜひ体験してみたい一品です。実際に体験してみたテントントさんは、よろしければ使い心地のご感想を下のコメント欄、もしくはこちらまでぜひお送りください。