モンティ・パイソンの再来か アスペ四人組のコメディグループ、ドキュメンタリー映画に出演 後編

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画像出典元:Variety 様 http://variety.com

テントントさんがやってみたコト 第23回

みなさんこんにちは。コメディに興味津々、特に不条理な笑いが気になるTENTONTOメンバーのmarfです。

生まれつきの発達障害をもちながら、自分たちの特徴を知ってもらいたいと取り組む当事者(テントントさん)の人々を取り上げるこのコーナー。

昨日に引き続き、本日もアメリカのコメディグループ、Asperger’s Are Us(アスペルガーって僕らのことさ)をご紹介します。

アスペルガー症候群を持つ人々の感覚は、多くの人の「普通」と大きく異なっていると言われています。そのズレゆえに日常で困難を抱えることもありますが、ときにズレを強みに変えられる可能性も秘めていると、私は思います。他の誰に見つけられなくとも、同じ症状を抱える人同士だからこそ発見できる強みがある。メンバー全員がアスペな感覚を持っていた場合、どんな風に影響し合うのか、ドキュメンタリーとしてもコメディとしても、彼らの活動は興味深いです。

先月末ニューヨークタイムズ紙のウェブサイトに掲載されたインタビュー記事を日本語訳にしてお届けいたします。本日は後編になります。(前編はこちら
 

 
 
http://well.blogs.nytimes.com/2016/04/28/aspergers-are-us-offers-comedy-for-all/
 
 
 
 
アスペルガーズ・アー・アスは、みんなのためにコメディを披露する
カレン・ウェイントローブ 2016年4月28日
 
 

彼らの「強迫的な」興味—例えばエルトン・ジョンへの熱い思い—は、しばしば彼らの即興劇の出発点です。フィンランの鉄道への没頭は、グループのもうひとつの強みです:帰りの電車に乗るにはいつリハーサル終えればよいか、彼はいつでもわかっています。

彼らはお互いに成長しました。33歳のミュージシャン、ボストンのバンカー・ヒル・コミュニティ・カレッジで心理学の助教授でもあるブリトンは、最近ガールフレンドと一緒に引っ越してきました。他のメンバー(現在23歳)はこのカレッジの生徒で、卒業した人、もうすぐの人がいます。

「今年を最終学年にした方がいいよ」ブリトンはハンケに言います。「一年前も君の最終学年だったもんね」

「いまは僕の第三最終学年なんです」と返すハンケ。「去年僕は3つの学期を2つに分けてみたんです。それはうまくいきませんでした。おかげで今は倍の授業を取る羽目になってます。」

ブリトン氏は友人の言葉の揚げ足をとらずにはいられません。「じゃあ本物の方の授業だけ出席したら良いよ。」とアドバイス。
 
 
 
冗談のやりとりの裏にははっきりと、お互いに対する真の賞賛と、彼らにとって大切な気持ちの繋がりが垣間見えます。「世界には、まるで自分と同じだと感じさせるような人間が2人程いると言います。」と、ブリトン。彼はよくグループの代表として話をします。「そんな彼らがそばにいないと、私はなりたいものになれません。」

この夏フルタイムでコメディを始められるよう、4人全員がなにもかもを保留しています。彼らはこれまでに15から20のショーを経験していますが、今回のツアーは生の観客を前に毎晩ジョークを磨く最初のチャンスになるでしょう。

お気に入りのコントとジョークは変わらず用意する予定です—それらの多くは映画の中で取り上げられています—しかしまた、ツアーの始まる前に彼らが書くであろう新たなネタも登場します。ショーの日程はボストンのImprov Asylumで7月11日、またニューヨーク市のCarolines on Broadwayで7月12日です。

「たぶんできのいい新ネタが一杯になるかな。でもたぶんできの悪い新ネタも一杯だろうね。それもまたよし。」とブリトン。
 
 
 
「『アスペルガーについて私が思っていたことのすべてを変えた』という彼らに関する記事を読んだとき、私は興味を惹かれたのです。」とレーマン。駆け出しの頃に撮った身銭稼ぎのドンパチホラー映画とは異なる、情熱を持って映画を作れた幸せがありました。レーマンは、彼らの成功の一助を果たせたことを誇りに思っていると述べます。アスペルガー・アー・アスのユーモア、とりわけ彼らの「陽気なジョーク」は、広く認められるようになると彼は確信しています。

「彼らはプロのコメディアンになりたかったのです。少なくとも夏はそれを得ていて、叶うならその先に進めるでしょう」「私は彼らがヒットするだろうと思っています。」
 
 
 
 
 
 
私はASCを持っているテントントさんなので、彼らの会話の言葉遊びに見られるユーモアに心くすぐられています。どことなくモンティ・パイソン(Monty Python)のような彼らのコメディ。彼らのウィキペディア記事にも、影響を受けたと書いてありました。

実のところ、アスペな感覚が一般的な感覚を持つ人達に伝わる訳ない、という諦めが私の中にはあります。しかし「面白い」とか「笑える」ということには、アスペな人にもフツウの人にも共通したひとつの重要な価値があると思います。

アスペルガー・アー・アスは、活動そのものが自閉症スペクトラムに関するアウェアネスになっていますし、披露したネタが受け入れられていくことは同時に相互理解の証でもあります。発達障害の特徴をコメディに変換していくのは、ムズカしいことをムズカしいまま言うのよりもはるかに大変なことですが、とても効果的なのだと感じました。

今後も彼らの活躍に期待してチェックしていきたいと思います。
 
 
 
 
 
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marf
人呼んで「菩薩系クソヤロー」、仏頂面のお絵描きの人。
カフェオレばかり飲んでいるが、寝たいときにはいつでも寝られる。
演劇の台本のト書きを読むのがマイブーム。
先日図書館でコントの台本を借りて、テンションが上がった。