プチサピエンス:海外ドラマ『アルファズ』
テントント先輩のプチサピエンス 第3回
先輩タキス(画像左、以下タ):こんにちは。このコーナーでは、テントントさんの暮らしに役立つちょっとした知恵=プチサピエンスを紹介するよ。
後輩るうが(画像右、以下る):おねがいします。今日はなんだろう。
タ:今日はASDを持つキャラクターが大活躍する海外ドラマを紹介しようと思うんだ。
る:『シンプル・シモン』みたいな作品が、他にもあるんだね。どんなの?
タ:『ALPHAS/アルファズ』っていう作品なんだ!2011年から放送された、SFサスペンス・ドラマだよ。 公式サイトはこちら
る:かっこいい見た目だね!どんなお話しなの?
タ:ええっと、一見普通の人にみえるけど、実は特殊な力を生まれつき持つ人=アルファたちが引き起こすさまざまな事件を、アルファに詳しい博士と精鋭のアルファたちのチームが解決するお話だよ。
る:生まれつき普通の人と持ってるものが違うってところは、ASDやADHDと似てるね。お話は単純明快なのかなあ。
タ:いやいや、そうでもないんだ。アルファたちはその能力のせいでアメリカ政府から危険視されていて、政府はアルファたちを片っ端から収容所に入れたいと思ってる。でもアルファの能力で引き起こした事件はアルファの能力で見つけるのが一番早いから、政府は博士を利用してる。博士は生まれつき人と違う能力を持っていることを理由に収容所はあんまりだと思ってる。だから博士は政府に協力しながらも、なるべく事件を起こしたアルファを助けようとするんだ。
る:博士は普通の人なのに、アルファのことを大事にしてるんだね。
タ:そうだね、そこが一番の見所かな。アルファの能力も感覚感受性が非常に敏感(ハイパー)な能力者がいたり、運動神経が抜群な能力者がいたり、脳科学的にリアルな設定になっているのも面白いね。
る:そうなんだ。ASDを持つキャラクターっていうのは、どんな人なの?
タ:そうそう、そのキャラクターは博士の仲間のアルファなんだ。ゲイリー・ベルっていう20歳の男の人だよ。
る:あ、写真でみたら、この人ハンドフラッピング(手をひらひらすること)してる!
タ:うん、これが彼の能力なんだ。彼にはあらゆる電磁波が「見えて」いて、テレビやパソコンなどの沢山の情報通信がいつも目の前に広がってる。その中から必要なものを手で触って探すことができるの。他の人にはその様子はただハンドフラッピングしながらひとりごとを言っているようにみえるんだけれど。
る:わー。かっこいいね。いまトレーラー動画でゲイリーさんの出てくるところみてみたけど、色のついた光がとてもきれい!
タ:ゲイリーはASDの中でも高機能自閉症と診断されていて、お母さんと二人暮らししてる。ASDの特徴から博士や仲間と衝突することや、事件に巻き込まれることもしばしば。だけど人一倍正義感が強くて、ムードメーカーにもなってる。はっきり言ってこの作品を象徴するキャラクターかな。
る:おもしろいキャラクターだね。どんな話なのか楽しみだな。
タ:番組の関係者は自閉症についてきちんと調査してゲイリーというキャラクターをつくったそうだよ。ゲイリー・ベルを演じたライアン・カートライトは、ASDについて書籍で勉強したり、ASDの人達とやりとりしたりして役作りをしているから、ライアンの演技はASDの子どもを持つ方々が自閉症の人をどれだけ繊細にすばらしく表現しているかをTwitterにつぶやくほどだったそうだし、ASDの人達にも受けが良かったそうだよ。
タ:他にも、先ほど挙げた感覚感受性が非常に敏感なレイチェル・ピルザドの、人と感覚が違うことで生じる悩みや抱えている問題なんかもとてもリアルに描いていると思う。センサリーデザインを深く知るという観点からもおすすめだよ。もちろんフィクションだけど。他にも遺伝や偏見、ドラッグなど、社会的な問題をSFという題材でテツガクしようとしてるのじゃないか、と思うほど、濃い内容のテレビドラマだね。
る:………。
タ:ん?るうがちゃん、どうしたの?
る:私アスカイ・ルウガのアルファ能力は、コンニャクが食べたくなり、食べさせたくなるようにマインド・コントロールすること……。ていっ!
タ:ははは、おもしろいねその能力。………。うー、寒いね。コンビニでおでん買って食べようよ。特にこんにゃくとしらたき。久しぶりにおごってあげるね。
る:フフ…