コラム:アスペをいっそ文脈盲と呼んでみる
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カエテクスティア(caetextia)と言う言葉があります。カエクス(盲)とコンテクスタス(文脈)を合わせた造語で、文脈盲を意味します。アイルランド人の心理学者のジョー・グリフィンとイギリス人の心療内科医のイワン・ティレルが2007年よりこの概念を提唱し、この文脈盲という言葉でASD、特にアスペルガーの特徴を表現、認知を広めていく活動をしています。
公式サイトに詳しい説明がありましたので、こちらより引用します。
http://www.caetextia.com/index.html
カエテクスティア:文脈盲の意、変化しやすいものとのインタラクションを適切に取り扱うための振る舞いや認識を合わせる能力の無さとして表現される慢性的な障害。カエテクスティア―文脈盲は、多くの部分からなり相互接続する変化しやすいものの経過を追うことと、変化しやすいもののあらゆる移り変わりに対してそのものが持つ歴史を含む幅広い領域を参照しながら優先順位付けをし直すことの能力の無さに起因します。これはカエテクスティアを持つ人々の2つの精神的な習慣的方法のうちの1つに訴える原因となります:論理的直線的思考/ランダムな関連付けによる思考。
文脈盲に関する根拠は、センサリーデザインとは? 第6回、第8回で一部をご紹介した共感化―システム化仮説の提唱者サイモン・バロン=コーエンや、自閉症研究の第一人者ウタ・フリスの理論も取り入れて形成しているようです*1。
アスペルガーは見た目や仕草から変わっている人であるという風に見えたとしても、またたとえ本人からアスペルガーであると伝えられたとしても、はっきり文脈盲であると”わかる”ことは見かけ上ありません。アスペルガーと共に過ごす中での失敗や事件のエピソードを通じて、それがあとから認知されていくことが多いのが今の日本の現状だと思います。
神経科学の見地から文脈盲としてはっきり診断をつけることができれば、目に見える違いのある人として”わかる”人も増え、文脈盲という感覚の違いがある人が一定数いることの認知は進みやすいでしょう。そうすれば盲であるが故のトラブルを未然に防ぎやすくなりますし、文脈盲に着目したセンサリーデザインも飛躍的に活発化できます。ASDの中でもアスペルガーと古典的自閉症とで脳波が異なるという2013年の研究があります*2ので、その日は近いかもしれません。
ユミズ タキス
*1 : http://caetextia.com/pages/other.html
*2 : http://vectorblog.org/2013/08/autism-and-aspergers-are-different-at-least-on-eeg/