米・ウッドベリー 学生が開発したセンサリーなバックパック 

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画像出典元:Star Tribune 様 http://www.startribune.com/

センサリーデザイン最前線 第32回

こんにちは。TENTONTOメンバーのYutaniです。このコーナー【センサリーデザイン最前線】では、世界中で次々と生まれるセンサリーデザインの事例についてご紹介しています。

本日は、米・ミネソタ大学の学生企業家チームが開発したバックパック、Nesel Packをご紹介します。Nesel Packは、自閉症スペクトラム症状をもつ子どもたちのためにデザインされたアイテム。感覚刺激のニーズに応える工夫が盛り込まれた、センサリーなバックパックです。

ニュースメディアStarTribuneより、9歳の男の子によるNesel Packの「試用」を取り上げた記事を、和訳でお届けします。

http://www.startribune.com/u-students-design-backpack-for-students-on-autism-spectrum/371855271/

大学生、自閉症スペクトラム症状の生徒のためのバック・パックをデザイン

大学生が自閉症児のための学習を加速させる特徴のあるNesel Packsをデザインした。
Zoe Peterson スター・トリビューン 2016年3月11日
 
 
 
ウッドベリーに住む小学3年生のリーアム・クレイグは、Nesel Packを試した。それを見つめる大学生ウィル・ラドキ(中央)とジェイク・ポートラ(右)

米ウッドベリー・Bailey Elementary Schoolの3年生、リーアム・クレイグは、Nesel Packを絶賛している。

「快適だけど、ストラップをもうちょっと柔らかくする必要があるね」リーアムは語る。「これがフリースだったら、なお良いよ」
 
 
 
9歳のリーアムは、自閉症スペクトラム症状をもち、ウェイテッド・ベストやベア・ハグのような感覚刺激を欲しがる。最近、リーアムはミネソタ大学の学生起業家により開発された特殊なバックパックNesel Packを試した。

Nesel Pack(”nestleー快く身を落ち着ける”という言葉をもじっている)は、分厚いストラップと、圧迫するようなベストを模した重りつきのポーチを備え、身体の意識を手助けする。前面にはchewie(噛むオモチャ)やfidgets(もさもさのオモチャ)のようなセンサリートイをくっつけるためのクリップがついている。
 
 
 
「もっとも重要なのは、私の息子リーアムはまさに一日中感覚刺激を求めているということ。特別に大きいストラップがあることは、彼にとって大切なのです。」とジョシュ・クレイグ。「このバックパックの丈夫さ、そしてセンサリートイのためのクリップが気に入っています。このようなおもちゃは、私の子どもに与えた次の瞬間には地面に落ちてしまうものです。汚れた状態で口に入れてほしくありませんからね。」

後ろについたセキュリティ・ストラップもまた役に立つ。「リーアムはナーバスになったり、怖くなったりすると走り出してしまうのです。」とクレイグ。「なので、このような追加の手持ちハンドルのおかげで彼の安全を確保できるのです。これも大きな利点です。」
 
 
 
Nesel Packを考案したカールソンスクール経営学専攻の4年生の6人のチームは、授業でこのアイデアを思いついた。

Nesel PacksのCEO、マーサ・ピーチョウスキはまず最初に、「行動する起業家精神」という授業でバックパックを作ろうとした。その授業では、学生がビジネスをスタートする。見かけは普通のバックパックながら、特別な仕様になっている、アイデアは、次第にそんなツールへと進化していた。

Neselsの広報部長ウィル・ラドキは、速やかにチームに加入したメンバーだ。ラドキが8年生のとき、彼の両親は、子どもの養育のために家を開放することを決めた。10年後、彼らは約30人の子どもたちを迎え入れた。とラドキ。

「障害というものについて、考えさえしていませんでした。養育している子どもたちに対してそうだったのと、同じようにね。」とラドキ。「彼らの抱えていた全ては取り除かれました。私たちは安全な毛布のようなバックパックを作りたかったのです。」

 
 
圧迫刺激を求めたりものを口に含んだりといった挙動について、TENTONTOwebの記事でも度々ご紹介してきました。こうした動作は、ともすれば奇妙な目で見られがちな印象があります。しかし、安心や満足のために、こんな変わったことをしたがる子どもたちもいます。そんな「ニーズ」を実現させてくれるNesel Packは、自閉症スペクトラム症状をもつ子どもたちにとって心強い存在となってくれそうです。
 
 
後半をお楽しみに!