センサリーを聴く:Yaeji – WAKING UP DOWN

Yaeji

Yaeji『WAKING UP DOWN』

パンデミックの時代のフラット化した生活サイクルの中では、最も平凡なことでさえも困難な作業のように感じることがある。

そのような時代に突入する直前にリリースされた、Yaejiのとろんとした目の不思議ちゃんソング『WAKING UP DOWN』は、不安な日々を乗り越えるための生き抜く術を体現している。チクタクとしたエレクトロビートの上に、激しくパンニングされたステレオ効果がより混乱を招く中で、シンセの音はより強くなっていく。

英語では、朝起きて、水分補給をして、料理をして、音楽を聴いて、それらにどれだけうまく対処できているかということを、まるで不安から逃れるかのように、短い呪文を口にする。そして韓国語では、重要な注意点として、全てをうまくやりこなすことは消耗戦だと口にしている。

Pitchfork 2020年ベストソング100 より

쉽진 않지 (It’s not easy)
쉬운 거라곤 없지 (These’s no such thing as easy)
게으르면 (If I’m lazy)
다 내 탓이라 하지 (They all say it’s my fault)
쉽진 않지 (It’s not easy)
쉬운 거라곤 없지 (These’s no such thing as easy)
늦지 않지 (It’s not late)
아직 늦진 않았지 (It’s still not too late)

Yaeji『WAKING UP DOWN』

ディレクター:Annie Xing Zhao

『WAKING UP DOWN』のアニメーションビデオでは、トラックスーツを着たYaejiとフワフワした犬のウーファが、より良い自分になろうと努力している。

ニヤッとしたミミズを爪で抱えた青い鳥、頭が卵のシェフ、ボスのビッチ社長など、奇妙なキャラクターの助けを借りて、二人は料理、水分補給、リスニングなどのタスクのチェックリストを習得していく。

アニメのオープニングシーンをイメージした映像は、鮮やかで目を引く色づかいや抽象的な背景、大げさな表情など、Yaejiの想像力から生まれたキャラクターのおふざけぶりが際立っている。

韓国語のコーラスで「自分のことも他人のことも大切にするのは簡単なことではない」と言っているYaejiだが、この映像では、ちょっとした想像力を膨らませれば、その責任は楽しいものになるということを伝えている。

Pitchfork 2020年ベストミュージックビデオ20 より

 
 
自分に負けないため、自分の理想のオトナになるために、普通ではない、ユニークな人たちの助けを借りてみたり。ユーモアで難事に当たってみたり。こういう努力は、いつか確かに希望になるような気がする。

 
 
ユミズタキス