コラム:アスペが好きなモノの共通点 その1

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似たもの同士趣味が似てくるということはよくあることですが、アスペにもそのような傾向があるのではないでしょうか。

サイモン・バロン=コーエン著『自閉症スペクトラム入門』には、ASDの特徴のひとつとしてSFを好む傾向があるという記述があります。一般的にASD(自閉症スペクトラム)の方はサイエンス・フィクションを好むということは、TENTONTO no.2でも寄生獣を話題に挙げてお伝えしました。ASD傾向がある人がSFを好むのには理由があります。

センサリーデザインとは?第6回でご紹介したように、アスペルガーはシステム化指数(SQ)の数値が高く、それがSF作品の持つシステマチックな世界観に惹かれるひとつの理由ではないか、と考えられています。つまりSFに限らずシステムを感じられるモノ(SQの高さを発揮できるもの)には、特別興味がわくのではないでしょうか。

そして共感についても、ASD傾向の強い人は、同じくASD傾向の強い人により共感を抱くという研究を、センサリーデザインとは?第10回でご紹介しました。つまり、アスペ的な登場人物が出てくる作品を、ASDを持つ方は面白いと感じる可能性が高いです。

さて、アスペルガーの認知度が日本よりも高い(自分からアスピーと名乗ることも多い)欧米に目を向けてみます。欧米で大人の熱狂的なファンがいる作品のひとつに、マイリトルポニー(My Little Pony: Friendship Is Magic)というアニメがあります。上に描いたのはこの作品の主人公、トワイライト・スパークルです。

この図書館に住むトワイライトの性格はアスペルガー的、とファンの間ではよく言われていて、実際にものごとの順番にこだわったり、イレギュラーなことを極端に嫌がったり、言葉通りの約束を守ろうとしすぎたりする話があります(シーズン2の第3話など)。主人公がアスペ的なことは、感情移入しやすい作品と言えるのではないでしょうか。

またマイリトルポニーはもともと馬型のおもちゃのタイアップで始まったシリーズだけに、色々なキャラクターは出てくるものの、色や髪型やおしりの模様は違えどみな同じように馬型で、見た目の『揃っている』感じが強いです。同じくアスペに人気があるきかんしゃトーマスをイメージしてもらえばわかりやすいでしょうか。これも、馬型というシステムがあった上で、細部の違いでキャラクターを判別するという、アスペの好むセンサリーデザインと言えるのではないでしょうか。

私も海外の反響から興味を持って(あと妹や好きなツイッタラーが面白いと言っていたので)見始めたのですが、素晴らしく整った作画、明快な脚本、性格描写の正確さ、そして何よりキャラクターの魅力などなどに感動してハマってしまい、今シリーズを追いかけている最中です。アスペが好きなモノの共通点については興味深いテーマなので、ちょこちょこと気がついたことを今後もレポートしてみたいと思います。

ユミズ タキス