アスペルガーの女の子、ロッククライミングについて語る 前編

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画像出典元:UKClimbing.com 様 http://www.ukclimbing.com/

テントントさんがやってみたコト 第7回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。このコーナーでは、多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、感覚の違いを多くの人へ伝える活動をされている方々をご紹介していきます。

今回登場するのはテントントさんの女性ロッククライマー。2年前にアスペルガー症候群の診断を受けたアルサ・グラハムさん(20)は、イギリスのノッティンガムに住むベテランクライマーです。2015年2月、UKClimbing.comの取材に応じた彼女は、自身の自閉症について、そしてロッククライミングがどのように彼女の持つ傾向を克服するのに役立ったかを答えています。

当サイトでも『アスペとフリークライミング』と題して、ASDを持つ方へのロッククライミングのもたらす癒やしをお伝えしたばかり。彼女はどのような心境で岩と向き合っているのでしょうか。とてもぐっとくる文章でしたので、全部ご紹介するべく今回は前編後編に分けてお送りいたします。


Asperger’s and Climbing: A Girl’s Story: http://www.ukclimbing.com/articles/page.php?id=7107

アスペルガーとクライミング:ある女の子の物語

アルサ・グラハム 2015年2月

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クライミングはアスペルガーを持つ人々にぴったりのやるべきことなのでしょうか?言いたいことは色々あるのですが、その話に入る前にいくつか言いたいことがあります。第一に、アスペルガーと一言で言っても、私達はひとりひとり違っています(クライミングだって岩ごとに登り方が違うように、です。ハシゴみたいに単調なスピードクライミングを除いてですが…おっと失礼)。第二に、私は正式に診断を受けています。自分自身を自閉症スペクトラムの傾向のある人と認めています。そして男じゃありません(女性にも自閉症を持つ方はいるんです。これは明らかなことだって私は知っているのですが、メディアでは充分にそういう女性がいることが取り上げられてるとは思えません!)。それはさておき、アスペルガーがクライミングをするということは、どういったことなのでしょうか。

私は9歳からクライミングを始めました。その頃は友達が少なくて、付き合い下手で、気弱で、疑い深く、臆病な少女でした。友達の作り方も、他人との話し方も、似たような色々なことがわかりませんでした。学校ではひとりぼっちで、「みんなとは違う」という圧倒的な感覚を感じていましたが、本当の理由はわかりませんでした。私はどこか安全を感じられるところへ帰りたい、それを馬鹿にされないような自分になりたい、と思っていました。正直いうと、そんな夢は不可能だと本当に感じていました。クライミングと出会うまでは…

クライミングとスポーツに関わる人々は、私が今までに出会った何よりも、人生について、日々のインタラクションの仕方について、たくさん教えてくれました。それらの要素が私に定期的に人生経験をもたらしてくれたので、私は疑い深い少女からひとりの大人の女性になれました。もしクライミングやクライマーたちと出会わなかったら、私はその半分も達成することが出来なかったでしょう。アスペルガーをコントロールできて、愛せるようになったきっかけは、本物の気づかいがあり、私と同じものに興味を持った人達のコミュニティーに受け入れられたという事実でした。友達を見つけたし、本当の会話を学べたし、笑ったり微笑んだりする方法を覚えたり、私に欠けていたソーシャルスキルを徐々に学ぶことができました。今はいつもひとりでいたいとは思わないし、友達と会うことや、新しい友だちを作ることを楽しみにしたり、こんなことっていままで考えたこともなかったことです。

私タキスもかつてロッククライミングに打ち込んでいたことは、以前の記事でもご紹介しました。クライミングで出来る友達は普通の友達とは少し違っていて、自分をさらけ出した上でできる友達なので打ち解けるのがはやいと感じていました。みんな自分にとって精一杯の難しいコースを必死になって登っているので、格好をつけたり体裁を取り繕ってる余裕が無くて、純粋にその人を応援したくなるからかもしれません。

後半もお楽しみに!