センサリーデザインを用いた支援とは

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センサリーデザインとは? 第3回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。

このコーナーでは、私達TENTONTOが皆さまに一番お伝えしたいこと、センサリーデザインについて、僭越ながらご紹介させて頂きます。第3回は、感覚感受性が多くの人と比べて大きくずれているようなASDを持った子ども達に、センサリーデザインの観点でどのような支援ができるかの概略をご紹介します。

今回も全英自閉症協会のサイトにまとめられた記載をご紹介させて頂きます。

http://www.autism.org.uk/living-with-autism/understanding-behaviour/the-sensory-world-of-autism.aspx

私なりに和訳をしてみましたので、もし宜しければこちらもご参照下さい。

支援方法

ここでは感覚感受性に対する支援方法を述べます。しばしば環境を少し変えるだけで、彼らに感覚に合わせた違いを生み出すことができます。

忘れてはならない3つのポイント

①気づきましょう:ASDを持つ人にとって、何が困難を生み出しているか、という視点で環境をよく観察しましょう。何か改善できるところはありますか?
②創造的になりましょう:いくつかの良い感覚体験について考えましょう
③備えましょう:ASDを持つ人が異なる環境下の場合に経験する可能性のある感覚刺激について、その人へ伝えましょう。

支援方法:視覚

ハイポ(鈍感) 視覚支援グッズを増やしましょう。(視覚支援グッズのより詳しい情報はこちら
ハイパー(敏感) 蛍光灯を減らしましょう。代わりに深い色味の電球を使いましょう。サングラスをかけましょう。教室の中にワークステーションを作りましょう。視覚障害物から隔離するために、居場所または机の両側に高い壁を取り付けましょう。遮光カーテンを使いましょう。

支援方法:聴覚

ハイポ 視覚支援グッズを使って言語情報を補いましょう。
ハイパー ドアや窓を閉めて外部の音を減らしましょう。騒がしい場所、または人ごみに行く前には準備をしましょう。耳栓をつけましょう。音楽を聴きましょう。ワークステーションを作りましょう。

支援方法:触覚

ハイポ 重たい毛布か寝袋を使いましょう。
ハイパー もし彼らに触ろうとするときは、一言声をかけましょう。また、いつも彼らの正面から近づくようにしましょう。ハグが心地よさより苦痛となるかもしれないことを覚えておきましょう。少しずつ異なる手触りを紹介しましょう。素材を集めた箱があるとよいです。彼らの気が済むまでさせてあげましょう。例えば髪を梳かす、髪を洗うなど。そうすることで彼らにとっての快適が実現されます。

支援方法:味覚

味覚感受性がハイポまたはハイパーのASDを持つ人は、しばしば口当たりのよいものや、刺激の強いものを選り好んでいます。それに対して私達はどんな支援の方法も持っていません。なぜなら彼らが少量でも色々な栄養物を食べる限り、さして問題にはならないからです。それでもASDと栄養制限食について詳しい情報が知りたい場合は、こちらをご覧ください。

支援方法:嗅覚

ハイポ 糞便など不適切な強烈な臭いの刺激から気を逸らすために、ごほうびとして強烈な臭いのする道具を使いましょう。
ハイパー 無臭の洗剤やシャンプーを使い、香水を避け、可能な限り臭いのない環境を作りましょう。

支援方法:平衡感覚

ハイポ 平衡感覚発達の助けになるような運動を奨めましょう。子供には木馬や、ブランコ、回転遊具、シーソー。大人にはキャッチボールや、階段や縁石をすいすい登る練習がよいでしょう。
ハイパー 運動の動きをより簡単に対応できる段階に小さく分割しましょう。フィニッシュラインなど視覚的な手がかりを使いましょう。

支援方法:深部感覚

ハイポ 通り抜けやすいように家具は部屋の壁沿いに置きましょう。境界線を示すために床にカラーテープを貼りましょう。パーソナルスペースを判断するために、腕の届く範囲ルールを使いましょう。このルールは立った姿勢で他の人から腕の長さ分、他の人から離れて立つという意味です。
ハイパー 紐通しなどの細かい運動をしましょう。

感覚のためにあらゆるものを駆使する

前回ご紹介した7つの感覚感受性のそれぞれの違いに対する、支援者のできることの例が紹介されています。ここに記載された支援方法で私が注目したいのは、ルール決めや習慣付け、練習という教育的な支援だけでなく、ものを上手に使ってものから支援を行っている点です。サングラスや耳栓、寝袋といった身に付けるものや、視覚支援グッズやワークステーションといった専門的に開発されたもの、電球、カラーテープ、遮光カーテンなど既存のものを応用して環境をつくるもの、ブランコ、階段など公共の環境を利用するものなど、多岐にわたるものたちをその人の感覚感受性に合わせ組み合わせて使用し、その人に合った環境をつくることを奨めています。

このように感覚感受性という視点でその人に合わせた環境をつくり、その人にとって快適な生活スタイルを確立することが、センサリーデザインの本質です。人それぞれ異なるその人だけの感覚感受性に合わせた環境づくりを支援する活動を、私達TENTONTOは行っています。

次回は、ASDの子ども達にまま発生する具体的な問題をどのようにセンサリーデザインで解決していくのかをご紹介します。