ギュッと包まれて、安心できる。『センサリー・ラウンジャー』

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画像出典元:The Star Online 様 http://www.thestar.com.my/

センサリーデザイン最前線 第12回

こんばんは。marfさんと同じく、先日までno.3の原稿作業に追われていたYutaniです。間もなく配布開始の予定ですのでお楽しみに!このコーナーでは、センサリーデザインの考えに基づいた世界中の最新アイテムをご紹介しています。

自閉傾向のある人には、身体を包み込んだり、軽く締め付けてくるような感覚を好む人が多いとされています。しかし、圧迫される感覚は好きだけれど、「人間に」抱き締められることは不快に感じるという人もいるかもしれません。人が人を抱きしめるという行為には精神的なカベが生まれがちなもの。今回は、自閉傾向のある子供たちの身体を包み込み、多動性やかんしゃくを和らげるために設計された椅子、「センサリー・ラウンジャー」をご紹介します。

センサリー・ラウンジャーは、米・カンザス州のBlue Valley学園地区の高校、Centre for Advanced Professional Studies(CAPS)の生徒たちが開発した椅子です。マレーシアのニュースメディアThe Star Onlineによる今年1月の記事から、センサリー・ラウンジャーの詳しい情報をお伝えします!

A big hug for autistic kids(2015.1.18) – http://www.thestar.com.my/Lifestyle/Family/Features/2015/01/18/A-big-hug-for-autistic-kids/

Stuart Jacksonは、彼の息子Joshuaがストレスと不安から解放するのを手助けできる方法を長年探していた。このような症状は自閉症をもつ子供たちにしばしば見られるが、同時に彼らは、強く、ゆっくりと圧迫されること…つまり、強く抱きしめられることで得られる感覚によって心が穏やかになることが多い。Joshuaもまた同様だった。

Jacksonは、市場に出回っている中で手助けになりそうな数少ない製品を調べてみた。だが、それらはしばしば不恰好で、デザインが鬱陶しく、効果的でなかった。値段も高価だった。

そこで、彼はカンザス州のCAPSへ赴いた。この問題のために立ち上がったのは工学を学ぶ生徒たちだった。

パパサン・チェアのようなアイテムを参考にしつつ、彼らはゆっくりとした圧迫で使う人をなだめてくれて、値段が安価で、ふつうの家具の一部のように見える道具を開発した。仕事場や家、学校、病院のような場所でも効果的に機能するような道具だ。

現在、生徒たちは、センサリー・ラウンジャーの試作品をテストし、改良を加えている(商標も登録済!)。特許も取得している。最大の目標は、Blue Valley中、アメリカ中の学校にセンサリー・ラウンジャーを設置すること。家庭や病院への設置も視野に入れている。

以前このコーナーでも、ギュッと圧迫してくれる衣服・「スナッグベスト」をご紹介しています。大量生産される既存の製品は、多くの人と異なる感覚をもつテントントさんにとっては使いづらいものになりがち。教育の場所でこうしたセンサリーデザインの製作が行われていることは、テントントさんはもちろん、デザインを学ぶ生徒の皆さんにとっても有益なことではないでしょうか。抱き締められる感覚は好き、でも人間に触られるのは苦手、という人でも、この道具を使えば気軽にリラックスできそうです。

現在、CAPSのチームはアメリカ各地のイベントでこの製品の試用を実施しています。今年4月~7月の限定販売を目標に準備中とのことです。センサリーデザインの意義と快適さをより多くの人が知ってくれると嬉しいですね。

The Sensory Lounger – http://www.sensorychair.com/home.html

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