コラム:体調が悪いとより苦しい、感覚のずれからの痛み

これまでの記事でも、発達障害由来の生まれつきの感覚のずれについてお伝えしてきました。このずれから生じる問題を解決するデザインがセンサリーデザインです。本日は発達障害の当事者のひとりとして、そのずれについて少し掘り下げてみたいと思います。

感覚が自動でうまく処理できない

私達が挙げる感覚のずれの中でも大きなもののひとつに、専門的には感覚処理障害(SPD)や感覚統合障害(SID)と呼ばれている、自閉症スペクトラム障害(ASD)と併発しやすい困難があります。感覚が過敏すぎたり、鈍感すぎたりするせいで、気持ちが逆立って落ち着かなくなり、イライラしたり、落ち込んだりします。例えば昨日の夜、私は服のタグや縫い目が気になり何度も着替えたり、いつもは好きなサンマの煮汁がとても不快に感じられて汚いものをいじっているような感覚がしました。

疲れるとひどくなる、感覚のずれからの痛み

この種の感覚のずれは、体調によってその程度が変わりやすいものでもあります。気温や気圧、疲労具合や緊張度合で、自分でも驚くほどその辛さの程度は変わります。とくに注意したいのが栄養摂取です。精神状態に消化器系は影響を受けやすいので、充分に体内へ栄養をとりこめず、思いがけず弱ってしまうことがあります。なにかに没頭して食べ忘れることもあります。私は体調が悪くなるとはじめに耳が聴こえにくくなるので、慌てて消化の良いものを食べることがあります。

歳を取る、鍛える、力を抜く、ある程度は受け入れる

幼少期と比べると、私の痛みはずいぶん楽になっています。これがベスト、だとは思っていませんが、私がやって良かったことをお伝えして、今回の結びにしたいと思います。

まず、歳を取るとそれだけで感覚の大きなずれが少し緩和されている実感があります。沢山の経験を経ることで感覚統合が少しずつ進むこともある、と私は考えています。

次に鍛えること。スポーツをやって機敏に体を動かすことで、指先の過敏さは随分ましになりました。身体がしっかりすると疲労しにくくなります。そして力を抜くことも、スポーツで力を入れることを覚えることと並行して、以前より身につけることができました。また、休む部屋をセンサリーな空間にして、ストレスを減らすことも大切です。リラックスする音楽にも助けられています。

そして最後に受け入れること。気に病むとそれだけ疲れが溜まるので、こんなもんだ、よくあるある、として、必要以上に考え過ぎないことも私には効果があるようです。

今回は、私の感覚のずれからの痛みを通して、それがどういうもので、私がどうしてきたかをお伝えしました。

ユミズ タキス