まるで写真みたい!超リアルな絵を描く、アスペルガーの青年

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画像出典元:WalesOnline 様 http://www.walesonline.co.uk

テントントさんがやってみたコト 第12回

TENTONTOメンバーのmarfです。多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、感覚の違いからの問題に立ち向かう活動をされている方々をご紹介しているこのコーナー。第12回では、アスペルガーのアーティスト、クリス・ベイカーさん(20)をご紹介します。

アスペルガーのアーティストは以前このコーナーの第3回にも登場しました。今回はイギリス、ウェールズで活躍されている方です。クリス・ベイカーさんは、お気に入りの音楽や映画、TV番組からインスピレーションを受けて、高解像度写真のように精密な絵を描くアーティストです。

彼は2011年10月に、初めて超写実的にウィル・スミスを描きました。ここから彼の芸術が出来上がっていきます。作品のモチーフには数々の映画スター、アーノルド・シュワルツネッガーや若かりしマイケル・ジャクソン、ロード・オブ・ザ・リングのガンダルフ(イアン・マッケラン)など様々です。今年(2015)、彼は自身のアートワークのプリントを売るために各地へ飛び回っているそうです。

オンライン情報誌WalesOnlineに最近のクリスさんの記事がありましたのでご紹介します。(2015/9/4)
These images might look like photographs but they’re actually drawings by an artist with Asperger’s syndrome-look-like-photographs-9990406
 

(前略)

彼は(アスペルガーという)事情のため、人々と話すのに苦労して、対処することが難しいとわかった後に、14才で学校を中退しました。

しかし、作品は、イアン・マッケラン卿のあごひげのガンダルフからスポーツカーの車体に映った映像まで非常に詳細に何でも描き出すために鉛筆を使うことにすら彼の才能を明らかにします。

髪や草の葉にあるような細部は、太さたった0.3mmの鉛筆を使って、個々に引かれます。

そして、彼が生み出す芸術の一部を売ることによって自営の方式に基づいて、収入を得ているクリスと、他の人が彼の芸術的な才能を賞賛することは、明白なことです。

最も最近ではボーンマスにて先週末、家族もマンガ大会に参加します。
『彼はふさわしい場所を見つけました、そして、彼は才能を得ました』

しかし、クリスはスポットライトを捜しません。彼の母サムが言うことには、
「賞賛される彼ですが、彼は、それを人々から受け入れるのは非常に難しいとわかります。」

サムと夫スチュワートは、彼が軍の問題に魅了されたとき、若い年齢から芸術に対する彼らの息子の適性に気がつきました。

「私達は新聞の角がむしり取られているのを発見します、そして、それらの紙片には大砲または銃が描かれます。それらは非常に複雑で、非常に小さかったです。」

とても緻密に絵を作成するということは、クリスが各々の作品を生産するために多くの時間をかけていることを意味します。
最も長いものに、彼は40時間かかりました(テレビ・シリーズSons of AnarchyからJax TellerでA4サイズ)。

彼は現在作品の版画を売っています。依頼も受け付けています。 – 依頼には来月ウェールズミレニアムセンターで開催されるBlack History Month展のためにアートワークも含まれます – そして、彼が自分自身ですると決めたものがいくらかです。

「それは素晴らしいです」と、サムは付け加えました。
「私達は、クリスがどこの業界に入るかについて、決して本当によくわかりませんでした。しかし、彼はふさわしい場所を見つけました、そして、彼は才能を得ました。」

 
この記事のクリス・ベイカーさんは両親によって、その才能を幼い頃に発見され、才能を伸ばす生き方を自身で選び、家族もまたそんな彼を見守ってこられました。母サムさんの「私達は、クリスがどこの業界に入るかについて、決して本当によくわかりませんでした。」という言葉に、当事者家族の難しい心情が現れています。

他者との会話に苦労して学校へ行かなくなった14才の頃から、自身の才能を開花させた現在ですが、他者からの賞賛をあえて受けようとはしないというところから、あまり得意になったわけではないのだろうと推測できます。しかし、クリス・ベイカーさんの詳細で緻密で膨大な時間を要する制作に没頭できるところは、まさにアスペルガーの特徴を効果的に最大限活かしていると言えるのではないでしょうか。

現在の活動状況からクリス・ベイカーさんは、自分にできる自分だけの方法で自分の責任と裁量において彼自身にふさわしい場所を切り開いたように見受けられます。彼の才能を発見し、環境を整えるのに助力したご家族の存在も大きいですが、彼自身の努力がなければ才能を得るところまでは到達できなかっただろうと、私は思いました。

 

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Chris Baker Art

ニュース2015/8/24(映像あり)
ITV

ニュース2015/9/5
BBC