テントントなスラング:nitpick

 

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TENTONTOエンタメ部 第36回

こんにちは。TENTONTOメンバーのYutaniです。

エンタメ部のコーナーでは、海外のスラング(隠語)をキーワードに、多くの人と感覚の違いをもって暮らす人=テントントさんの生活について考えてみる企画をお送りしています。題して、「テントントなスラング」

物事の前後関係、つまり文脈が読み取れないアスペなどのASDをもつ人にとって、「正確さ」はとても重要です。それは文脈「らしきもの」を知る手がかりになるはずのものだからです。この重要さを周囲の人と共有できないことが多く、時として大きな問題も生じます。BAP(幅広い自閉症の表現型)当事者の僕も例外でなく、会話の中で「正確さ」を求めすぎて、ちょっと嫌な顔をされることもあったりします。

海外のaspieの人は、友達や恋人、家族と会話の中で時として「正確さ」を求めすぎて、このスラングを投げ掛けられがちなのかもしれません。


nitpick_tentonto_slang

【nitpick / 動詞 / 細かいことをうるさく言う。 揚げ足を取る】

nit+pickでnitpick。nitはシラミの卵、pickは摘むという意味。「シラミつぶし」という表現と似ていますね。ちなみに、nitpickerで「粗探しや揚げ足取りばかりする人」という意味になります。

アスペ(ASD)は「文脈盲」とも呼ばれます。脳の構造の違いゆえに、さまざまな「文脈」を読み取ることができず、日常生活の中でトラブルに遭遇したり、周りの人から奇異の目で見られたりすることがしばしばです。

世の中の大多数の人が共有している、明言化されていないルール。実は、言及されないからこそ、ある種の「尊さ」がそこでは保持されているのかもしれません。「これは、言うまでもなく大切なこと。事細かに説明する必要はないし、そうすることで大切なものが失われる」といった風に。これもまた、文脈が共有されている光景のひとつだと言えるでしょう。

どこまでが明言すべき(あるいは、しても良い?)もので、どこからはそうすべきでないものなのか。BAPの僕としては、この線引きがどこにあるのかを疑問に感じますが、あなたの周りのnitpickerの人もひょっとすると、明言化されていないルールに踏み込んだときの周りの(好意的でない)反応を受けて、いろいろと思い悩んでいるかもしれません。

ある種の「文脈」をあらゆる人が共有することは難しいにしても、そうした「文脈」が存在することそのもの、また暗黙のうちにそれを読み取ることができない人がいることを認め合えれば、人と人のコミュニケーションはよりたしかになる。僕はいちBAPの当事者として、そんな風に考えています。