カラオケボックスは”センサリー空間”?
ASD(自閉症スペクトラム障害)にまつわるお話として、本日はカラオケボックスの”自閉的感覚”からの魅力をお伝えしたいと思います。
みなさんはカラオケと聞いて、どんな風に遊ぶイメージを持たれるでしょうか。歌いやすく加工された曲をかけて、マイクを使って歌を歌う。ここまでは同じだと思いますが、実はその楽しみ方には感覚の違いがあるんじゃないかと、私は思うのです。
一例として、発達障害のうちASDとADHDをもつ私のイメージを挙げますと、「自分の好みと声質に合わせて課題曲を決めて普段から聴き込み、いざ誰かとカラオケに行く機会があったとき、原曲キーでなるべく上手に真似して歌う」そんなゲームとして楽しんでいます。何度もやりこんだ「スーパーマリオ」のステージをプレッシャーの中プレイする、そんな感じです。
TENTONTOメンバーでASC(自閉症スペクトラム症状)をもつmarfにも聞いてみたところ、「曲を歌っている数分間だけ演技をしているような気持ちになります」とのこと。彼女は大の”ヒトカラ”好きなので、誰かに歌を聴かせることを楽しむというよりも、「大好きな歌手の曲を歌うこと」そのものの幸福感を楽しんでいるのかもしれません。
私たち自閉的感覚の強い人間からすると上記のような風に捉えているのですが、これってけして一般的な楽しみ方ではないと思います。もちろん歌うことそのものの爽快感や心地よさはあると思うのですが、そこまでの”個人的ストイックさ”は無いのではないでしょうか。周りを楽しませる曲を歌ったり、みんなで歌える曲を選んだり、歌を聴かずに喋ったり、お酒を飲んでぼーっとしたり。そんな楽しみ方をしている人が多いのではないでしょうか。
そこに協調性こそないものの、自閉的感覚(過集中)を満たす楽しみ方もできるのが、カラオケボックスという場所だと私は思います。「曲を入れて歌う、曲を入れて歌う」の繰り返しも、自閉的感覚(常同性)を満たしているとも思います。カラオケボックスは色んな楽しみ方ができることで、一般的な感覚から遠いアスペな私達も満喫できる、優れたセンサリー空間と言えるかもしれません。
ユミズ タキス