マインクラフトでトモダチつくろっ―自閉症スペクトラム児が集まるゲームサーバー”Autcraft”

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画像出典元:https://www.newscientist.com

センサリーデザイン最前線 第23回

こんにちは、ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 編集長のユミズタキスです。

私たちのフリーペーパー最新号TENTONTOno.5でご紹介した、カナダ在住の発達障害者支援活動家スチュアート・ダンカンさん。彼のマインクラフトを使った自閉症スペクトラム児とその親への支援活動の最新記事が、先日New Scientistで紹介されました。

世界中から注目の集まるDuncanさんの、自閉症児に寄り添うセンサリーな支援活動。本日はNew Scientistの記事を日本語訳にしてお届けします。

https://www.newscientist.com/article/mg23030713-100-how-is-helping-children-with-autism-make-new-friends

マインクラフトは如何にして自閉症児が新しいともだちを作るのを手助けするか

オンラインゲームを遊ぶことは非社交的になりうる―しかしAutcraftのコミュニティは自閉症児が社交的なスキルと人間関係を構築するすべを学ぶことを手助けする

テクノロジーニュース 2016年4月27日
Aviva Rutkin
 
 
 
多くの建築がそうであるように、それははじめ小さなものだった。しかし今や数千人の自閉症児たちが、オンライン建築ゲーム・マインクラフトを遊ぶことによって友達をつくり、ソーシャルスキルを学んでいる。

Stuart Duncan氏は、彼の運営する自閉症者の自分と息子の経験を綴った人気ブログを通して、あるアイデアを閃いた。それは、自閉症児をもつ自分以外の親たちが口々に話し始めたのがきっかけだ。彼らの子どもたちは、ランダムに生成された大自然を冒険するゲームにやみつきになっていること。しかしこのゲームが好きにもかかわらず、多くの自閉症児たちは他のプレイヤーからいじめられているということ。

そしてカナダ・ティミンズ在住のウェブデザイナーDuncan氏は2013年に、自閉症児と彼らの家族のためのマインクラフト用特設サーバーを立ち上げた。彼が想定したのは招待限定の10もしくは20人が参加できるサーバーだ。驚くべきことに、最初の数日で何百もの参加リクエストがあった。

今や約3年が経過し、「Autcraft」の運営は彼の本職になっている。コミュニティは7000人を誇り、管理チームによって様々な活動がサポートされている。「親御さんたちには、彼ら自身、そして彼らの子どもたちへの良かったを、持ち帰って頂けているように感じます」とDuncan氏。
 
 
「マインクラフトは現実世界のプレッシャーや気になることを切り分けられる。真に自分自身になれる」
 
 
このサーバーはカリフォルニア大学アーバイン校のKate Ringland女史の目に止まった。彼女は60時間このバーチャルワールドの中で過ごし、子どもたちがお互いにどのように遊んだり話したりしているかを観察した。Autcraftはただのオンラインコミュニティとしてではなく、自閉症児にソーシャルスキルの練習を行わせる手助けをするツールとしてある、とはRingland女史の見解だ。彼女は来月のカリフォルニア・サンノゼでのヒューマンファクターズ・イン・コンピューティングカンファレンスにてこの内容を発表する予定だ。

マインクラフトの中では、ブロックの形をした物質、たとえば木であったり、石であったり、建築に適したあなた好みのものを使って、こだわりの町並みから簡単なコンピューターまで作ることができる。「自閉症児がゲームで遊ぶことを大好きであるがゆえに、これは彼らにとって素晴らしい方法です、そして社交的な経験をも与えます」とRingland女史。「物理的な生活でのあらゆるストレス無しに、彼らが表現したり、コミュニケーションしたりするためのもうひとつの方法が提供されています」

日々の社交的なシチュエーションは、自閉症児にとって困難となる。ソーシャルなサインを汲むこと、他人の考え方を理解することに四苦八苦するからだ。Duncan氏は、マインクラフトによって現実世界の定型的プレッシャーを切り分けられると考えている。気が散るようなやかましさや見慣れなさのある環境が存在せず、他人の表情を読み取ることやアイコンタクトをすることが辛いことへのプレッシャーにさいなまれなくて済む。「マインクラフトによって、真に自分自身になることができるのです」とDuncan。「ソーシャル・インタラクションや、人間関係、コミュニケーション―あなたとあなたのキーボードによって、それら全てをシンプルにできます」
 
 
 
Autcraftに参加するには申請書の記入が必要だ。承認されると、あてどもなく世界をさまよいながら、自分の建築を作っていく。それに加えて、グループで遊べるゲームもある―オバケのようなボス「ウィザー」との苛烈なバトルをしたり―チームとして建築したり。ただ、いくつかのルールに従わなければならない。他のプレーヤーを困らせたり、人の持ち物を壊したりすると、ゲームから追い出される。ティーン・エイジャー向けのスピンオフサーバーの方は、少しルールが緩くなっている。

Ringland女史はAutcraftでプレーヤーを観察し、関連のオンラインフォーラムでの議論に目を通した。彼女からみて、彼らは友情を育み、一緒に楽しんでいた。また、子どもたちが自身の気持ちを表現していた―ゲームの中で楽しかったことや、現実世界での問題によって不安になったり悲しくなったことを。「非常に沢山の声が挙がっています」と女史。「マインクラフトはたくさんの社会的な振る舞いをサポートしています」
 
 
 
Autcraftのようなコミュニティに参加することは、社会的な不安が少なく意欲をわかせる最初のよいステップになると、自閉症をもつ若者に人間関係について教えているロサンゼルス・カルフォルニア大学PEERSクリニックElizabeth Laugeson所長。しかしスキルを学ぶため、単なるはけ口としてはならない、と所長。「マインクラフトは現実世界をネガティブに捉えることにもなり、ソーシャルスキルを教えるにあたって必ずしも必要なものではありません」

「とはいえ、Autcraftはいかに強力に共通の関心を中心とした社交的な環境を作り出すことができるかを示しています」とニューヨーク・ストーニーブルック大学のMatthew Lerner氏。「自閉症者を更生したり、驚かせたりしようとするものではなくて、彼ら自身の興味と情熱からそれは作り出されるのです」
 
 
 

翻訳:ユミズタキス

 
編集後記:言語の壁があるために、日本から彼のゲームサーバーにアクセスすることは難しいと思います。日本でもたくさんの声が集まれば、自閉症児向けのマインクラフトサーバー、実現できる支援活動ではないでしょうか。私たちTENTONTOも、YouTube動画を通して発達障害当事者にとってのマインクラフトのセンサリーな魅力を紹介しています。
 
 
 
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ユミズ タキス
「真面目系クズ」こと、ゲーム大好き当誌編集長。
豆とナッツが大好物。Yutaniに描かれた似顔絵は「石」。
確かに「つよくてかたいいしのおとこ」と肌の色が似ている。
趣味はウィキペディアの「誤謬」のページを眺めること。