コラム:「勉強できるけど仕事できない」問題を考える ①
(水) S = スヌーズ(うたた寝)
テントントさんのマイペースな日常を、コラムやマンガでつづります。
「勉強しかできない奴はダメ」「テストの成績はよくても、仕事できない奴はダメなんだよ」。職場や学校で、こんなフレーズを言ったり言われたりしたことのある方、けっこういるのではないだろうか。
僕も中学生の頃に言われたことがある。当時所属していた球技の部活動の練習をしていたときのことだった。すごく驚いて、悲しい気分になったのをよく覚えている。自分がとても理不尽な扱いを受けているように感じてしまったのだ。
「勉強できるけど仕事できない」でGoogle検索してみたら、なんと100万件以上のページがヒットした。もちろん全部が全部このフレーズに関わるものじゃないだろうけど、「勉強できるけど仕事できない」問題は多くの人にとって深刻なものみたいだ。なんだか心に引っ掛かるこの言葉。一体なにが気になるのか。ちょっと整理してみたので、お付き合いいただきたい。
このフレーズが引っ掛かる理由は大きく3つに分けられると思う。
① 「勉強」と「仕事」って?
そもそも、この類のフレーズでの「勉強」「仕事」とは、具体的に何のことを指しているのだろう。「自分が今、実現させようとしていることに関係がなく、相手への当て付けに使えそうな事柄」「自分が今、実現させようとしていることに関わる作業」を指す漠然とした言葉としてそれぞれの単語を持ち出しているだけなのではないか。
②学歴・アスペへの差別意識の複合
やはり根底にあるのは、勉強ができる人=将来高い学歴を手にする可能性が高い人や、文脈が読み取れない、全体像を掴みながら作業を進められないといったアスペルガー(AS)的な特徴をもつ人に対する差別意識ではないだろうか。「アスペって話通じないから気持ち悪い」「学歴高い人って感じ悪い」というステレオタイプがそこにはある。
アスペの傾向があり、かつ知能指数が平均より高い人は、この2つのステレオタイプと対応する要素を併せもっているがために、チームスポーツのように、学力の高さが評価基準とならず、即断力と協調性を求められる場面ではこうした言葉を投げ掛けられがちなのだと思う。
確かに「仕事ができない」のは問題かもしれないが、それならば解決策を提案したらいいわけで、学歴や思考の特徴の話を持ち出す必要はないと常々思う。さて、書き始めたら文章が長くなってしまった。3つ目の理由については、また次回書いてみたいと思う。
Yutani