「アスペのための」ゲーム、チェス ④
テントントの僕らの目が輝くもの 第15回
こんにちは、TENTONTO編集長のユミズタキスです。
ASDやADHDをもつ人たち(テントントさん)の心をウキウキさせるものをご紹介するコーナー【テントントの僕らの目が輝くもの】。過去三回に渡って、イギリスの自閉症当事者活動家クリス・ボネーロさんのサイトautisticnotweird.comより、『とても説得力のある、あなたの自閉症児がチェスを学ぶべき10の理由』をご紹介しています。(①、②、③)
本日はその5、その6を公開。チェスのもたらす自閉症児への恩恵について、今回は特に切り込んだ内容になっています!
http://autisticnotweird.com/10-reasons-for-chess/
5: チェスは忍耐を教えてくれる
初めに私が言ったように、チェスは衝動的なゲームではありません。
事実、チェスを遊んでいるときには二つの選択があります:
1.ゆっくりと、選択肢を考えろ
もしくは
2.負けろ
私が担当してきたチェスクラブにおける大成功の多くが、衝動的なキッズと成したものでした。彼らが、衝動性と敗北との間に相関性があることに気が付くのに、そう長くは掛かりませんでした。その相関性とは、一手一手をチェックすることと、勝利との相関性と同義なのです。
彼らは、目一杯の時間を使って手を考えることが5秒しかかけないよりも良い結果をもたらすことを、即座に学んだのです。
そしてごく自然なことですが、彼らはすぐにこの哲学を、チェスボードの外でも応用し始めたのです。
チェスの基本は、なによりも考えること。ASC(自閉症スペクトラム症状)による過集中を、目の前の状況を把握することに向けられるチェスは、ASD者がものごとをきちんと考え始めれるような思考プロセスを得る絶好のサンドボックスかもしれません。
6: チェスは、他人からの視点でみることを強いてくれる
これに関してはまさに自閉症児にぴったりといったものです。
チェスの不文律の3つ目は:
ルール3:一体全体なぜこの人はそんなことしたんだ?
自分の手番でないとき、2つの時間の使い方があります。相手の意図を予測するか、ただ自分の番を待つか。どちらの思考プロセスが勝利を導くと思いますか?
チェスは相手の狙い、意図、そして計画を考えることを教えてくれます。チェスボードを挟んだレッスンによって、そのことは今や、他の人と話すときに私が第一に考えることとなりました。外交するための手段を学ぶこと、そして悪い人たちからのだましを回避することに、大層役立ったのです。
もしあなたのお子さんが、他人の視点に関する問題で苦しんでいたり、それを考慮することすら忘れているようなら、それはチェス(もしくは意思決定の要素のある何らかのゲーム)を学ぶひとつの大きな理由になるでしょう。
当事者のひとりとして、この他人からの視点、については特に日々考えることの多いテーマです。まずは目の前の相手の考えについて、思いを巡らすことを磨いていく。「場の空気」のような、自分と間隔の異なる人々の共通した考えと対峙した際にも、なんらかの理解の糸口を、そうやって磨いていった思考力の中で、少しずつ冷静に捉えていくことができるのではないでしょうか。
次回もお楽しみに!
訳:ユミズタキス、Yutani