「良い」ができあがるって、しあわせ。

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CHILLれぬ日々を過ごす 第11回

みなさんこんにちは、TENTONTO編集長のユミズタキスです。”発達障害当事者の日常”をテーマに、リラックス出来ないASD(自閉症スペクトラム)&ADHD(注意欠陥性・多動性)のココロを描くこのコーナー。今日はみなさんに「産みの苦しみでチルれない」というテーマで、お話をしたいと思います。

フリーペーパー最新号、ASD & ADHD Magazine TENTONTO no.7の入稿を終え、やっと一息ついているテントント編集室。編集長である私の、「冊子の内容をギリギリまで高めたい」という気持ちに振り回される形で、毎度TENTONTOメンバーはクタクタ。そしてASDの特徴としての過集中から、各コーナーを担当するメンバーが相当な集中をして書き上げているであろう原稿。私のコーナーも二ヶ月ちかく、読者の方に本当に伝えたいことは何か延々考えていた内容を、入稿間際までさらに練っていました。

自分に自信があればそんなことにはならないのですが、私は自信を持つのが苦手で、正直毎回かなりくらーい気持ちで執筆をしています。こと冊子に関しては、フリーペーパーの性質上発達障害についてまったく事前情報がない方が読まれるわけですから、冊子をめくってすぐの私の挨拶文は、発達障害の当事者をイメージづけてしまう文章になると考えられもします。独りよがりにならないように、それでいて自分の考えていることをまとめて、伝わるように書く。そのようなものになっていると思える段階を完成形として、シッチャカメッチャカの文章を叩き上げるのが恒例になっています。

発行が一ヶ月遅れになっている現状、どうしてもはやく完成させたい。けれど思い描くような完成形にはまだ遠いように感じる。どうしたらいいだろう。悩みは増すばかりです。もちろん、投げ出したくもなります。

けれどこうして毎号発行できているのは、冊子が自分たちが思い描いていたそれ以上のものとして完成することが、本当に楽しいからだと思います。そして、感想を下さる読者の皆様の言葉が、テントントメンバーで目指していた「良さ」がたしかに読者様の「良い」という気持ちに繋がったんだなという実感となって現れます。中には協賛を申し出て頂ける方もいらっしゃります。こんなに嬉しいことはそうそうありません。

発達障害をもつ人が不必要に抱えてしまっている苦しみについて知ってもらいたい、という気持ち。その気持ちをわめいたり、あばれたりして表現しても、誰かに伝わることはおそらくないと思います。世界でこのフリーペーパーにしかない「良さ」を、たとえ産みの苦しみでチルれなくても作り出そうとすること。コミュニケーションが苦手なメンバーでも、うっかりミスで誤字脱字や入稿が遅れがちなメンバーでも、「良い」を目指して取り組み、できあがったときの幸せは、このボランティア活動の一番のやりがいだと思います。