センサリーなテント状建築空間、センサリー・プレイスケイプ
画像出典元:Redshift 様 https://redshift.autodesk.com/
センサリーデザイン最前線 第34回
こんにちは、編集長のユミズタキスです。このコーナーの第26回でご紹介した、ミシガン大学ショーン・アルクイスト教授の自閉症スペクトラム症状と触覚刺激をテーマにした建築プロジェクト。今月6日にデザイン情報サイトRedshiftにて続報が公開されていましたので、今日はその記事の一部を翻訳してお伝えします。
https://redshift.autodesk.com/architecture-for-autism/
自閉症者のための建築は、自閉症スペクトラム障害をもつ子どもたちにとってブレイクスルーになり得る
ザック・モルティス
よい建築は、手すりの高級な木材の木目から、デイケアセンターにある厚手でもじゃもじゃのカーペットに至るまで、触覚というものが常に考慮されてデザインされている。より豊かな環境を作るというやり方で、目、手、そして心を繋げる。それは全ての感覚を結びつけるのに効果的な方法だ。
しかし、アナーバーにあるミシガン大学で働く建築学の大学教授は、訪問者により楽しく多様な触覚体験を提供する、自閉症者のための触覚環境について研究している。自閉症スペクトラム障害(ASD)をもつ7歳の女の子アラのような子どもにとっての、セラピーのひとつの形だ。
ショーン・アルクイストの娘アラが、ソーシャル・センサリー・アーキテクチャー・パビリオンにてインタラクションしている。ミシガン大学のショーン・アルクイスト提供。
ソーシャル・センサリー・アーキテクチャーズという、活動中の調査プロジェクトを率いるショーン・アルクイストは、ASDをもつ子どもたちのためにセラピー的建築物を作り出した。プロトタイプのひとつ『センサリー・プレイスケープ』は、伸縮する布とそれを引っ張るロッドで作られた、没入できる環境として作られたテントのような構造物だ。触れることや音がトリガーとなり、布の表面にスクリーン上にプロジェクトマッピングされた二次元イメージが反応する。
このビジュアルは、粗大運動と聴覚とビジュアルフィードバックを通した繋がりをデモンストレーションし、自閉症スペクトラム者に共通する困難のひとつ、自閉症をもつ子どもたちが適切な力の運動量について調節することを助ける。
このサイトTENTONTO webも、センサリーな(感覚に心地良い)空間として『テント(TENT)』をテーマに命名していますが、自閉的感覚とこうしたテント的仕組みの質感に目を付けたアルクイスト教授は、なかなか鋭い感性をもっているな、と感じます。今後の活動に期待大です。