これぞアスピーアプローチ?ボクシング肉体改造計画

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画像出典元:Quest News 様 http://www.couriermail.com.au/

アスペがはじめるボクシング 第3回

こんにちは、筋肉痛大好き、編集長のユミズタキスです。このコーナーもあっという間に第3回。引き続き、自閉症スペクトラム(ASD)をもつ人向けのスポーツの一例として、ボクシングことはじめの記事を書いていきます。
※検索でいらしたボクシングを学んでいる方にも、何かしら持ち帰っていただける文章を目指して書いています。

前回は、ボクシングの基本の姿勢として、アゴを引く動作について解説しました。組手を重ねないとこうしなきゃ、と思いにくい動作なぶん、アゴを引く意識が抜けやすく、上達の妨げになることのままある要素だと思います。そのぶんキッチリできると、見た目もスタイリッシュに見えますね。

今日の記事は前回予告したとおり、ボクシングの攻撃面の話を少ししてみたいと思います。

ボクシングで使う、日常使わない筋肉とは

前回の基本姿勢の話にもつながってくるところなのですが、ボクシングは普段使わない体の動きをするスポーツです。ですので、筋肉痛になるのも足腰といった大きな筋肉はもちろん、小さな筋肉に疲労がたまることがままあります。

典型的な疲れのあらわれは、腕のガードが下がることです。相手からのパンチをいなすためや、こちらのパンチの出処を見にくくするため、不意打ちを食らいにくくするためなど、拳を頭にある急所を守れる高さに置いておくことは、ボクシングの基本動作になります。スタイルによってはあえて腕を低くして、ダイナミックな重心移動をした際のバランスをとる動作のために使うこともありますが、こちらはボクシングのできる体になってから。腕のガードを上げ続けることが、始めたばかりでは鬼門になります。

というのも、ボクシングでパンチを繰り出す腕の動きと、ガードを上げ続ける動き、どちらも似た筋肉を使うために、疲労が一部にどんどん溜まっていくのです。腕全体が重だるくなり、パンチは遅くなるわ、ガードは下がるわ。必死にやれている人であればあるほど、理想のフォームからどんどんと遠くなっていくジレンマがあります。

ここでよくトレーナーに言われるであろうのは、力を入れずに軽くでいいので、良いフォームを憶えていこう、というアドバイスです。もちろんそれも正しいのですが、ミットやサンドバッグにパンチの衝撃を当てて全身を鍛えていくことも大事なので、力を入れないのに慣れていくと、いつまでたってもボクシングの体ができていきません。見ているともともと非力な女性の方はとくにその傾向が強いように思われます。

そこで、手っ取り早く必要な筋肉を鍛えてしまう、という作戦を、このコラムでは提唱してみます。自閉症スペクトラム的な、システム化指数の高さを使った問題解決のアプローチです。題名にもある、ボクシングで日常使わない筋肉。今回のような動きで特に注目すべきなのは、肩の筋肉、より詳しく言うと三角筋前部という小さな筋肉になります。これを鍛えてみましょう。

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画像出典元:mustlesused.com http://www.musclesused.com

フロントレイズでボクシング長持ち

三角筋前部(Anterior Deltoid)は、肩の前側についている、腕を前に出す動きに使われる筋肉です。小さな筋肉ですが、この部分が使い物になる強度になると、ガードを上げたり連打したり、といった動きがいくぶんラクになると私は思います。

ここでいわゆる筋トレをオススメするのですが、なにぶん小さな筋肉なので、腹筋のような激しく体を動かすようなトレーニングでない方法をご紹介したいと思います。いわゆるフロントレイズと呼ばれる、ダンベルを使った動きが三角筋前部をピンポイントで鍛えるのに有効です。

YouTubeで調べると、ムキムキのお兄さんがごっついダンベルを使ってフロントレイズをやっている動画がたくさん出てきます。ただ、ここまでしなくても大丈夫です。ごく軽いダンベルか、水の入ったペットボトル(500ml~1,000ml)で十分です。詳しいやり方は良いサイトがたくさんあるので調べてもらった方がよいと思いますが、ここにも簡単に書いておきます。

1.立った状態で背筋を伸ばし、そのまま体を少し前に傾ける(腕が前にブランとなる状態)
2.片手にペットボトルを持ち、なるべく力を抜く、胸はそらす
3.もう片方の手はペットボトルを持っている側の肩の前側(三角筋前部)をそっと触る
4.息を吸いながら、腕を伸ばしたまま、肩までの高さ、前へゆっくりペットボトルを持ち上げる。
5.息を止めて、ペットボトルをもった腕を止める。肩を触ってる手できちんと三角筋前部が動いてるのをチェック。
6.息を吐きながら、同じ動きでゆっくり腕を下ろす。
7.片腕5回ずつ繰り返す。

力いっぱい持ち上げてしまうと余計な筋肉を使ってしまい、小さな三角筋前部が鍛えられなくなってしまいますので要注意です。上手にトレーニングできると、三角筋前部が熱くなっているのがわかると思います。

効率を求めるのならプロテインや超回復などスポーツ科学的なアプローチも出来ますが、そこまでしなくても思い出したときにこの筋トレをすることで、一気にボクシングに求められるフォームを保ちやすくなると思います。不快感少なくボクシングを楽しめるようになりますし、もちろんパンチ力にも貢献する大事な筋肉なので、このスポーツをやる上では鍛えて損のない筋肉だと思います。余談ですが、肩幅を大きくみせてしまうのは三角筋中部で前部ではないので、ゴツくなるのはイヤ!という方も気兼ねなく鍛えられる部位でもあります。

次回も今回と同じく、ボクシングの動きを作るちょっとしたことを紹介していければと思います。