アスペボクサーなら、律儀に”アゴ”を引け!?

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画像出典元:Quest News 様 http://www.couriermail.com.au/

アスペがはじめるボクシング 第2回

こんにちは、息はすぐ切れるけれど運動大好き、編集長のユミズタキスです。本日も前回から引き続き、自閉症スペクトラム(ASD)をもつ人向けのスポーツの一例として、ボクシングことはじめの記事を書きたいと思います。
※検索でいらしたボクシングを学んでいる方にも、何かしら持ち帰っていただける文章を目指して書いています。

前回はボクシングを始めるにあたってのはじめにマスターしたい動きとして、飛び退き(バックステップ)を取り上げました。詳細は前回の記事を読んでいただければと思いますが、要約すると、隙をなるべく消すための基本の動きとして、まずはじめにご紹介をしたという感じです。

今日の記事でも、隙を少しでも減らすボクシングの技術をひとつご紹介します。この記事で注目するのは<顎を引く>という、構えの姿勢の部分になります。

ボクシングの始めたてでジムに行くと、基本姿勢は顎を引いて相手をニラみつけるように、とまず教わると思います。この動作について、フワッとした説明では納得しにくいアスペ(ASD)の方でもわかりやすいように、細かな説明をしてみたいと思います。

ボクシングで顎を引く意味

顎を引く動作には、大きく分けて防御面と攻撃面、2つの面のメリットがあります。

まずは防御面。ボクシングはパンチのみの格闘技にすることで、足技、寝技の攻撃力を無くして、攻撃力を抑えているがゆえに実現する好戦的な攻めができる、観戦に特化したスポーツです。そんなスポーツの中でルール上もっとも大きな弱点とされるのが、顎。顎に手を当てて左右に動かしてみるとわかりますが、軽く動かしただけでもテコの原理で脳がグラッとゆれ、船酔いのような感じがすると思います。この部分を攻め、この部分を守るというのが、ボクシングの最もベーシックな闘いのやりとりになります。顎を引くことでそんな標的が相手から見て奥に、筋肉に守られた形で位置するようになるので、とても有効な姿勢であることがわかると思います。

次に攻撃面。腕の筋肉と首筋の筋肉が連動していることはよく知られています。プロボクサーを見ていると、強いパンチが首筋の筋肉まで使って放たれていることがよくわかると思います。逆に首筋の筋肉を緩めて試しにパンチを打つと、サンドバッグに拳が当たった瞬間ガクンと頭に嫌なゆれが走ります。これでは攻撃しているのに自分へダメージが蓄積してしまうことになるので、この面でも顎を引くことは重要になります。

と、いうことで、ボクシングでは常に顎を引いている状態が理想の体勢になります。といっても、素早く動くと(短距離走を思い出してください)息が上がって顎が上がってくるのと同じで、ちょっとでも気を抜くと息をするために顎が上がってくるのが人間の本能です。これを理性や習慣でどれだけ押さえ込むか、という部分が、ボクシングでは重要になってきます。

練習としては、顎を引いた(顎に力を入れた)状態で息を吐いたり吸ったりするのに慣れることが第一と思います。パンチを出したり足を踏み出したときに、顎を引いたまま息を吐く練習です。息を吸うために息を吐く。これを意識できると、全力で動いたときのバテがだいぶ減るのではないかと思います。前回のバックステップの練習のときにも応用できますので、ぜひやってみてください。

次回は少しボクシングの攻撃面についても触れ始めたいと思います。

コラム:ロッククライミングでも、顎を引くことは重要な要素のひとつ

TENTONTOwebでも度々取り上げている、ロッククライミングのアクティブなセンサリーへの効果。このロッククライミングでも、顎を引く動作はとても重要視されます。

と、言ってもボクシングと違って、ロッククライミングでは攻撃が飛んできたり、力いっぱい殴ったりといったことはありません。ロッククライミングでは、少しでもリーチを伸ばす(手の届く範囲を広げる)ために、顎を伸ばした腕の反対方向に思い切り引くという動作がセオリーです。首筋の筋肉を伸ばして、その分リーチを稼ぎ、動きを安定させることも意識した動作です。このとき目線は手を伸ばした反対方向に向くような感じになります。

もちろんボクシングでは相手から目線を外して隙だらけなりますので、こんな動きはしません。私はロッククライミングの方がボクシングよりキャリアが長いので、まだボクシングの動作には少し不慣れがあります。