発達障害者にセンサリーはどうして必要か ― 思うところを正直に書く人として ④

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発達障害者は、感覚のズレによってどのように苦しんでいるのでしょうか。発達障害由来の感覚のずれを解決する、センサリーなものごとにおいて常に考えなければならないことに、人、場所、そして体調という要素があります。

今回は一般にストレスの低いとされる状態や場所においても、当事者はストレスを感じやすいということをお伝えしてみようと思います。


 
まず、人について。ASD者においては誰かと近くにいることが多くの精神状態においてストレスとなります。いくら雰囲気の良いお店であっても、人気の多い場所全般に居心地がよくありません。

この傾向は、家庭においては生活力の低さと相性の悪い傾向ではありますが、人と自然に相対するに足る能力もなく強いストレス下に居続ける方が、危険を感じた際の行動を取る可能性は高まる以上、ひとりで静かにできる環境を得ることが求められます。

ASD傾向の弱いADHD者についてはこの限りではありませんが、価値観が独特であることには変わりなく、それによって傷つきかねないような集団ではやはりストレスを感じることになるでしょう。
 
 

次に、場所について。ASD者においては気が散りにくい環境、ADHD者においては気が散ったとしても構わない環境、合併者にはその両方が求められます。

気が散りにくくするためには五感の情報を少なくする必要があります。照明を暗くしたり視野を狭めたり不必要なものが目に入らないよう覆ったり、不快な音が気にならないようにしたり、風を遮れる肌触りのよい服を着たりといったことが求められ、服装で補うことも施設設備で補うことも必要になります。

気が散って構わないようにするためには、こまめに姿勢を変えられるような椅子や机とそのレイアウトを選んだり、欲しいと思ったものがすぐ手に入るような仕組みを作ったりが必要になります。
 
 

そして体調について。これは夜型の生活を好む傾向であったり、気圧の影響を受けやすかったり、感情を大げさに捉えやすかったり逆に鈍りすぎていたりといった違いに対処できるような生活を選ぶことになります。

食の偏りによる栄養面、気温に敏感または鈍感すぎることによる不調には対処が必要です。不注意による物理的なケガや精神的なショックに対する対応もADHD者では求められます。

非定型であるぶん生活全般に負荷がかかっているために脆く、生まれつきの特異な頑丈さがあれば別ですが、多くの場合、身体や精神を鍛え調整するようなその人なりの手段が必要になります。
 
 

こういったことが達成されて初めて、勉学なり、労働なりを取り組む状態を作り出すことができます。

これらの要素どれをとっても、一般には想像できないか、または極端すぎるように感じられるかで共感を得られにくい、さらに基本的な生活力の低さも相まって、そのような暮らしを支援するという発想が生まれにくいことが問題の背景にあります。

とはいえ、非定型である以上、非定型な生活が手に入らなければ当人はいつまでも苦痛で、脳をうまく使うこともままならないのです。
 
 

ユミズタキス
 

(次回は2019/7/28の更新予定です)