アスペルガーの女の子、ロッククライミングについて語る 後編

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画像出典元:UKClimbing.com 様 http://www.ukclimbing.com/

テントントさんがやってみたコト 第8回

ASD & ADHD MAGAZINE TENTONTO 代表のユミズ タキスです。このコーナーでは、多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、感覚の違いを多くの人へ伝える活動をされている方々をご紹介していきます。

前回に引き続き、今回もアスペルガー症候群の女性ロッククライマー、アルサ・グラハムさん(20)をUKClimbing.comよりご紹介します。


Asperger’s and Climbing: A Girl’s Story: http://www.ukclimbing.com/articles/page.php?id=7107

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自信は少しずつついてきました。学校でのプレッシャーや変人としての扱いで沈んだ私の心を、クライミングは立ち直らせてくれました。明らかに、人々よりクライミングの中により多くがありました。激しいムーブにトライしてそこから理解を深め、異なったやり方を試すときの過集中の感覚が私は大好きでした。私の問題解決型の脳はそのムーブの解決方法を昼夜問わず悩み続けます。クライミングはアスペルガーのネガティブな側面に対して対処したり、社会的に適切な振る舞いを学習するのに役立ちました。クライミングを通して、本当に大変な現実から抜け出すことと、かけがえの無い友人を得られました。

私のアスペルガーの特徴から引き起こされる問題の解決にクライミングが役立った期間、クライミングを好きだと思う気持ちが途切れることはありませんでした。アスペルガーは、私にとっては、他の人には明らかなことが私にはしばしば理解できないということを意味していました。そしてそれはいくつかの問題を引き起こしました。そのうちの1つで、私は7本の指を痛めることになりました。なぜこんなことになったのか、何回も何回も尋ねました!答えは簡単で、指が完全に傷んでしまうまで、私が手を握ったり開いたりできなくなるとは思わなかったからです。何も間違ってないでしょ?それに、クライミングを止めさせられたくなかったので、誰にも指のケガについて話しませんでした。そうすれば誰にも文句は言われない。私はまったくもって合理的でした。

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また、失敗に対する問題も抱えていました。失敗したら周りにどう思われるか怖かったので、ハードなクライミングにはしばしばトライするのをためらいました。最近はそれがすごく馬鹿げた態度だとわかります。けれど当時は新しいものすべてに対する恐怖と失敗の恐怖のせいで、新しくてハードなクライミングへのトライは言い訳をしてしないようにしていました。これは当然ですが、私のクライミングにとってちっとも良いことがありませんでした。アスペルガーと自閉症の特性によって増大される恐れ―ミスを犯すことへの恐れ、ルーチンを失うことへの恐れ、新しい経験をすることへの恐れ―は、私のケガと改善不足に繋がりました。私がアスペルガーを持っているということさえ知らなかった当時(私は18歳で診断を受けました)は、それらのことに対する自分自身への激しい怒りがありました。それももちろん、私にとって全く良くないことでした。

クライミングは本当に強力な心の支えになりました。そしてそれがなければ、自分がどうなっていたかわかりません。今や私は感覚と感情を制御するための方法に対して深い理解があります。クライミングは私と私のようなアスペルガーを持つ人たちにとって安全な場所です。アスペルガーと自閉症を持つ人達には、私はクライミングをおすすめします。全ての人にすすめられるわけではないにしろ、私が見つけたこの安全と幸せを感じられる場所は、スペクトラムに含まれる私一人だけのものでは決してないはずです。クライミングは受け入れてくれる世界です。私達アスペの仲間たちは、まさにこのような世界を必要としているのです。

アルサ・グラハムさんはハードなクライミングに挑み、困難を克服して登り切るその繰り返しのなかで、自分の特性に向き合えたのではないでしょうか。また同じようにクライミングを楽しむ人達がいたことで、自分と持っている感覚が違えど、同じ幸せを共有できる仲間を得ることができたのだと思います。もしこの記事を読んで少しでも興味がわいたテントントの皆さんは、ぜひお近くのクライミングジムに行ってみてはいかがでしょうか?