新連載:CHILLれぬ日々を過ごす

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CHILLれぬ日々を過ごす 第1回

みなさんこんにちは、編集長のタキスです。今回から「発達障害当事者の日常」をテーマに、『CHILLれぬ日々を過ごす』と題して連載をさせていただくことになりました。

先日ご紹介したテントントスラング、CHILL(チル)。日本語ではリラックスという言葉の方が一般的でしょうか。

海外の発達障害関連の記事を見ていても、チルは当事者のニガテなものとしてよく出てくる言葉です。ASDのみを持つタイプの当事者の方はチルれないシチュエーションは多くても、わりと自分なりにチルれる方法を持っているな、と感じることがあります。逆にADHDがある場合、シチュを問わずチルれてない、という印象です。私自身も大の苦手です。私はASD(自閉症スペクトラム)とADHD(注意欠陥多動性)の両方を持ち、さらにOCD(強迫性)もあるタイプですが、肩に力が入ってるだの、もっとリラックスしようだの、なにかあるたびに言われています。

どれだけ普段から堅く緊張しているのか、自分でもわかったエピソードをひとつ。私は趣味でボクシングをしているのですが、仕事で徹夜をしほとんど寝ていない状態で、それでも体を動かしたくて半分以上目がふさがった状態でジムへ行き、ミットを叩いたら、「今日はリラックスしていてすごく上手ですね!のびのびできてますよ!」と言われたことがあります。これだけ眠くて丁度いいの?これを求められていたのかあ、としみじみ思いました。

頭がカッカするという言葉がありますが、ADHDを持つ人にとってはカッカしているのがふつう、アタリマエのことなのです。まるでトムとジェリーに出てくるネコのトムのように、頭の中でジェリーのような何かをいつも追い回しています。それは楽しくやっているときもあり(しめしめ、こうしたら捕まえられるぞ、というときのトム)、イライラしてやっているときもあり(ジェリーにちょっかいを出されて怒ったときのトム)、なんだかわからなくなってやっているときもあります(疲れて頭が回らなくなり、追いかけること自体が目的になってしまったときのトム)。

そのどれもがイレギュラーなことではなくて、とてもレギュラーな心の動きなところが、多くの方とADHDの方との違いだと思います。このコーナーを通して、少しずつそういった違いについて掘り下げていければと思います。

ユミズ タキス