本人だから、”メルトダウン”は防げる
発達障害をもつ人たちの”メルトダウン”について、いかに対峙するか。そのような内容は、国外の支援活動サイトによく散見されます。日本で言ういわゆる癇癪のことですが、メルトダウンと言うと、いよいよ回復不能な、破滅的な事象として、支援者たちが当事者の感情の爆発を捉えていることが伺われます。
なぜ当事者は、”メルト”するほどに熱くなりすぎてしまうのでしょう。それは、発達障害者の多くは自分を精神的に追い込んだり(背伸びのし過ぎ)、実際に他人に追い詰め(虐め)られたりしやすい傾向があること、加えてそのような現実に基本的に”気が付けない”からだと、私は考えています。
熱くなるさまざまな原因があっても、それらをことごとく見過ごし、見誤り、見通せない。頭の空回りです。私にとってもそれらの”出来なさ”は他人事でなく、大人になって自由を手に入れ、背伸びを諦め虐められないコミュニティを選んでも、かなり意識して網を張らないと、気付かぬうちの”テンションマックス”は避けられません。それに当事者にとってそのような網を意識して張ることは、それがそれなりにできている当事者にも負担の大きい作業です。疲れていたり眠いときには、緻密な包囲網は敷けません。
ではどうするか。私自身は、いつもスポーツに助けられています。体を動かして(回して)いると、動きのキレの悪さから、ヘンに頭の空回りをしている自分に気づけます。そういうときは、疲れているから、眠いから上手くいかない、という考え方を一旦脇に置いて、純粋に体を上手く動かすことだけを考えます。そうするとその動きに関する部分において感覚統合がなされ、浮き足だった感情が”着地”します。私にとってはそれがお手軽な精神統一です。
演奏なり、書画なり、拳法なり。人によって方法はさまざまだと思います。いずれにせよ、当事者自身が自分の感覚(センス)と向き合い、センサリーな気づきを与えてくれる行為を忘れない、怠らない。それにハマって楽しんでいれば、本人の束縛の苦痛もありません。メルトダウンしないために当事者ができる、センサリーと向き合えるなにか。それは本人にとっても、周囲にとっても、実はとても価値のあることなのではないでしょうか。
ユミズタキス
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