金のオノは、壊れなくてセンサリー。

 
道具にたいして、思い入れのつよい方だと思う。基本的に不器用だから、とりあえず道具の扱いを上手くなろうと頑張ってみる。自分の手足のように使えないなら、いい道具でもかえって不便。四苦八苦するうちに道具に愛着が湧いてくるのは、きっと自然なことなんだろう。
 

 
私の大好きなゲーム『とびだせ どうぶつの森』の中にも、ゲーム内の”生活”で役立つ、さまざまな道具が登場する。スコップ、つりざお、あみ、ジョウロ、パチンコ、オノ。これらは500ベル(参考:ゲーム内ではフルーツ5個分の値段)をお店で払えば、手に入れられる。そして、ゲームを進めるうちに銀の〇〇、金の〇〇、といった具合で、機能と見た目をグレードアップできる。
 
 

少し話がそれるが、私は自分の村で”おいしいさくらんぼ”の栽培に成功した。”おいしいさくらんぼ”は”さくらんぼ”よりおいしいので高く売れる。だけど、一定数を収穫すると枯れてしまう。このようにしてできた枯れ木もなんだか風情があるので嫌いじゃないのだけど、たくさん栽培しているとだんだん邪魔になってくる。そういうときは”オノ”で切ってスコップで切り株を掘り出すと、また新しい木を植えられるようになる。
 
そんなオノにも”使用回数”がある。一定数の打撃で、壊れてなくなってしまうのだ。壊れた瞬間には、「あーあ、オノが壊れちゃった」というセリフとともに、自分のキャラクターの残念そうな表情と、世にも情けないサウンドが流れる。それを見ると、私の方も心底ガックリくる。ゲームなんだから現実と違って何かを失わなくてすむ、という前提のもとプレイしている私にとって、ゲームの中で大事にしているもの、しかも愛着ある道具を損なうという演出は、いつも相当な精神的ダメージを与えて続けてきた。
 
 

しかし先日、この悲しみのループから私はついに脱け出した!ようやく”金のオノ”を手に入れたのである(一応攻略法がある。実はそんなに難しくないので気になる方は検索されたし)。金のオノはゲーム内で最高の頑丈さを誇り、決して壊れることはない。これでいつ壊れても困らないようオノの予備を買い置きする日々にサヨウナラだ!
 
 

そこで思ったのが、私にとって金のオノはセンサリーデザインなんじゃないか、ということだ。大事なものが壊れてしまうと、私は極端に悲しい気持ちになる。私の場合はゲームの中で、
①フルーツを収穫した喜び(+)
②木が枯れてしまった悲しみ(-)
③枯れ木を伐採したらオノが壊れてしまった悲しみ(-)
をまとめて感じてきたので、正直この時点でテンションはマイナスの方向にめり込んでいる。収穫した喜びがあったところで、あまり慰めにもならないくらいだ。そんなふうに考える私にとって「オノが壊れない」というのは、スゴく革新的なことだと感じた。

 
 
TENTONTOの活動をしていると、センサリーって一体なんなんだろう、センサリーデザインって一体なにすればいいんだろう、といつも考える。金のオノを振ってみたら壊れなかったという体験で、どうぶつの森での生活の”センサリーレベル”が上がったことに気づいた。”何かを足す”というより、”何かを損なわない”というのが、センサリーデザインの正体なのかもしれない。
 
 
 
 

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marf
人呼んで「菩薩系クソヤロー」、仏頂面のお絵描きピーポー。
カフェオレが好き故、喫茶ハトの巣ではミルクをたっぷり入れる。
先々週のプリパラアニメをみて「ガァルマゲドン」の新曲で号泣。
早くゲームセンターで「いたずらマカロンファクトリー」をみたい。