バンクーバーのお父さん、息子のため自閉症スペクトラムの主人公が活躍するSFを書く
Y = ユース(青春)
熱い思いを胸に活動する、テントントさんのハートフルなチャレンジ。
画像出典元:Oregonlive.com 様 http://www.oregonlive.com
テントントさんがやってみたコト 第15回
こんにちは、TENTONTOメンバーのmarfです。このコーナーでは、多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、自分の抱える感覚の違いに基づいて活動をされている方々をご紹介しています。本日は自閉症をもつ息子をモデルにして小説を書いたブライアン・タシマさんをご紹介します。
ブライアンさんはバンクーバー在住のミュージシャンです。
彼の息子、トーリン・タシマさん(現在17歳)はアメリカにいる自閉症スペクトラム障害をもつ350万人の中の1人です。彼は幼い頃に、数列や対話をそっくり記憶する、地元のモールを歩いては詳細な地図を作る、コンピュータを使う方法とそれを一から作る方法を見つけ出すなどをやってのけました。こういったASD者にみられるシステム指数の高さゆえの突出した能力が、父親ブライアンさんにはまるで魔法か強大な力のように思えたそうです。
それで、ある日トーリンさんが「自分のための本を書いてほしい」とブライアンさんに頼んだことを機に、ヤングアダルトSFファンタジー・シリーズ “Spectraland Saga” を執筆しました。
自閉症を強大な力として使う10代の子が主人公です。また、そのキャラクターはブライアンさんのようにミュージシャンでもあります。音楽が危機の瞬間に彼をもう一つの世界に導きます。
2012年にシリーズの最初の本 “Secret of the Songshell” を出版。2015年秋に第2巻となる ”Mystery of the Moonfire” が出版されました。
Oregonlive.comに”Mystery of the Moonfire” 出版に際してブライアン・タシマさんへのインタビュー記事がありましたので、一部引用してお届けいたします。
Autism becomes a superpower in Vancouver dad’s sci-fi/fantasy series for teens(2015.11.24)
自閉症はバンクーバーのパパが描く少年向けSFファンタジーシリーズでスーパーパワーとなる
(前略)
Q:最初の本への反響はいかがでしたか?
A:
本当によかったです。
私がこれまでの反響で一番うれしかったのは、私がクラスルームとしばしの間Skype通話をしたときです。
もしその子が自閉症スペクトラムなら、彼らは同じようなことを言います。「これを書いてくれてありがとう。この本が自分自身のことをとてもよいものだという気持ちにさせてくれました。」別の子は「私には、彼がなぜそうなっているのかがよくわかります。」と言います。Q:このシリーズによるあなたの目標は、何ですか?
A:
この全部のプロセスに最初にとりかかったとき、私はこれを独立したものにするのか、シリーズ、あるいは三部作にするのか悩みました。
私は、結局それぞれの巻を虹の色に基づいて作るというのを一番大きな理由として、これを7巻のシリーズにすることを決めました。
光の波長、自閉症スペクトラムというアイディア – とてもぴったりです、私はそう思わずにいられません。物語は、次第により深刻に、より暗くなります。
それは、色がより暗くなる方法と結びついてます。(中略)
Q:この本を読んだ読者にどんな希望を持っていますか?
A:
ハリー・ポッターやパーシー・ジャクソンといった一連の本は、面白く楽しめるようになっていて、誰でも読めるように作られています。
私は読者には楽しい時間が訪れることを望みます。彼らが楽しんで、でも同時に、自閉症スペクトラムの人がどのように考えていたり感じているかもしれないかについて、理解できるのです。スペクトラムの上にいる、または、スペクトラムの上の誰かとのつながりがある読者のため、私の第一の目標は彼らが彼ら自身のものと呼ぶことができる、文学的なヒーローを真に提供することです。それは彼らの権利拡大と自尊心の感覚を与えます。
私はスペクトラムの上にあることをなるべく避けよう試みることをすすめてはいません。
私は彼らのポジティブな面を強調しようとしています。
今回ご紹介した “The Spectraland Saga”はいわゆるアスペ感覚を持った主人公、それもアスペ感覚を武器にしている主人公です。インタビューによると、ブライアンさんは自閉症スペクトラムと光の波長をかけて物語を展開させていくようです。これは少しでもASC(自閉症スペクトラム症状)を持っている人なら、あるいはBAP(『幅広い自閉症の表現型』当事者)の方でもわくわくできるのではないかと思いました。
自分に似たところのある主人公が活躍していたら、テントントさんも勇気づけられることでしょう。
全7部作の予定とのことなので、今後の展開にも注目していきたいと思います。