マグネットで簡単に閉じられるファスナーをYKKが開発
画像出典元:YKK株式会社 https://www.ykk.co.jp/
センサリーデザイン最前線 第55回
ライターの青いロクです。
ジャンパーなどに使われる、金具を下までおろすことができるファスナーについて、マグネットの磁力を利用し、より簡単に閉じられるようになった新商品(マグネットファスナー)の開発を、YKK株式会社が先日発表しました。2021年度中の量産を目指しているとのことです。
(ニュースリリース)マグネットで簡単に閉じられる新ファスナーを開発:YKK株式会社
(ニュース記事)磁力でくっつく「マグネットファスナー」をYKKが開発 “金具がかみ合わないイライラ”を解消 – ねとらぼ
YKKのニュースリリースによれば、スポーツシーンでのスピーディーな着用やキッズウェアでの活用を想定しているとのこと。また高齢者や手が不自由な方など、ファスナーの開閉動作がしづらく使用を敬遠していた方にも手にとりやすい、ユニバーサルファッションの視点を持っているとのことです。
上記の想定する利用者には含まれていませんでしたが、発達障害者の中にも、感覚の違いから手先がうまく動かず困難を抱えている方もおり、このようなファスナーによって日常の不便さ、ストレスが軽減される人も多くいそうだと思いました。
アメリカ精神医学会のDSM-5やWHOのICD-10では、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害について、発達性協調運動障害と定義されています。この障害はADHDとの併発は50%と非常に高く、また、ASDとの併発も少なくないと言われています。
上記には指先を動かす微細運動の不便さに加え、体全体を動かす粗大運動の不便さも含まれますが、相当数の方がいわゆる手先の不器用さで困難を抱えています。
(参考サイト)発達性協調運動障害とは?ただ不器用なだけではない?症状、困りごと、相談先、家庭での対応まとめ【LITALICO発達ナビ】
この新しいファスナーは2021年度中に量産体制を構築したいとのことなので、この機能が搭載された衣服を私たちが選べるようになるのはさらに先かと思われますが、期待して待ちたいと思います。
青いロク