ふつうに伝えたくても伝えられないんです
CHILLれぬ日々を過ごす 第4回
みなさんこんにちは、TENTONTO編集長のタキスです。”発達障害当事者の日常”をテーマに、リラックス出来ないアスペルガー&ADHDのココロを描くこのコーナー。今日はみなさんに「言葉が出なくてチルれない」話をしようと思います。
私はASD、ADHD、OCDの当事者ですが、対人関係ではっきりと私を緊張させるのは、実はそれらの特性だけではありません。加えて私は吃音症(どもり)なのです。マイクラちゃんねるでも喋らせていただいているのでご覧のみなさんはお気付きのことと思いますが、相手にとって聴き良く発話するのが不得手な性分です。
これを喋ろうという単語は浮かんでいるのに、いつまでたっても声帯が動かず、言葉になりません。固有名詞を伝えようとするときに私は吃音が生じやすいのですが、喋らないと伝わらない単語だけに、喋らないわけにもいかない。待っている相手の気まずい沈黙に耐えられず、「えーっとですね」「なんだったかな」「あれ、あれですよ」などと言いながら、喉や舌に力を入れてなんとか最初の一文字を発話しようともがきます。
最近になって、吃音症も発達障害(つまり生まれつきの脳の特性)のひとつと捉えられるようになってきました。気の持ちようで変わる、落ち着けば良くなるというアドバイスをよくもらっていましたが、やって上手くいかなかったのも納得がいきます。
伝えたくても伝えられないもどかしさ。そんな”吃音感覚”が確かにあります。小骨が喉につっかえて取れないような苦しみと、イメージ通りに体が動かないことによる落胆が同時に襲ってきます。また当然、会話のスピード感が無い=ドン臭い、ヘンな印象を与えますので、それを蔑んだり哀れんだりする対話相手の”感情的な顔や声の表情”の怖ろしさも憂鬱です。メモに書いたりタイピングしたりしてそれを見せればいい、という単純な手段だけでは、私にとってのそのような複合問題は解決しそうにありません。
自己紹介でうまく名前を話せない。電話でうまく注文ができない。思いついたギャグをうまく話せない。そんなとき、吃音症というセンサリーな問題を抱えるひとりとして、それを解決する試みの大切さをひしひしと感じます。