no.3後日談:アスペゴコロ代弁者(国道編)

TENTONTOno.3後日談 第4回

MC Yutaniこと、TENTONTOメンバーのYutaniです。

フリーペーパー『TENTONTO』no.3の舞台裏をメンバーがご紹介するこのコーナー。第4回の今回は、前回に引き続き、僕、Yutaniとタキスによるアスペゴコロ代弁ラップ「アスペゴコロ代弁者」の制作についてお話したいと思います。

リリックの方向性

ということで、【日本語ラップ】で【アスペの思い】を【明るく】伝えることを目的にラップMVを作ろう、ということになったのでした。まずやるべきはリリック(ラップの歌詞)作り。どんな【アスペの思い】をリリックにしようかということで、アイデアを出してみました。僕は妹がアスペ(ASD)なのですが、小さい頃はケンカばかりしていたので、妹への「ディス」を反映したリリック、僕が高校のとき、「アスペルガー症候群」「注意欠陥・多動性障害」という言葉を聞いたときの思い、などなど。

あれこれとアイデアは浮かんだのですが、【明るく】伝えるという当初の目標に立ち返ると、やはり自分の「好きなもの」「いいな、と思う物」についてラップするのが一番いい、という結論に至りました。ということで、「BAP=僕の立場から、BAPの好きなものを語りつつ、アスペの好きなものについても代弁する」ラップをすることに決定。

アスペが好きなモノ

「アスペ(ASD)」を「文脈盲」と呼ぼう、という考えがあります。アスペの人の脳構造では、いちいち説明されない様々な「文脈(前後関係)」を読み取れないのだ、とする考え方です。つまり、アスペの好きなものの特徴の一つは、「文脈(前後関係)がハッキリしているもの」であると言うことができるでしょう。そんな特徴のあるものの一つとして思い浮かんだのが、映画ゲームでした。

映画は、2時間程度の時間でストーリーが完結するように、登場人物の背景や関係が分かりやすく、ハッキリと描かれることが多いです。ゲームだとこの性質はより顕著で、例えばRPGゲームは、地図上をあちこち冒険することで、ゲームのストーリーを読み進めることができます。ストーリーを読み解くのに必要なことは、登場人物との会話や、道に立っている看板の中、村の長老の家にある古文書…などに全部書いてあります。まるで小さなカセット(少し古いですが…)の中に、別の世界が完全に再現されているかのようで、アスペゴコロ的にとてもワクワクするのだと思います。

国道っぽさとは

そして、もう一つ重要なキーワードだったのが「国道」っぽさ。地方や郊外を通る幹線道路と、その脇の家電量販店やラーメン屋、紳士服店をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。こういう「国道」っぽさ、私は「BAPっぽさ」の象徴だと思っています。

地方都市では、人の結束や、人間関係が重視されることが多いです。一方で、都会にはこういう地方都市からやってきたという人が多く、「一人で暮らしたい」という人が比較的多い印象を受けます。つまり、都会の方がよりアスペには向いている、ということもできるでしょう。

しかしBAP的には、「小さな群れ」を作って暮らしたいという気持ちも心の中にある気がしています。国道沿いのロードサイド店舗は景観を乱す、などあれこれと批判もありますが、地方都市で小さな群れを作って暮らしつつ、「そこ(国道沿い)に行けば(人との交流を介さなくても)なんでも手に入る」という安心感、ワクワク感が、BAPゴコロをガッチリつかんで離さないのだと思います。

そんな「国道っぽさ」、「アスペゴコロ代弁者」のMVから感じていただけたでしょうか?