テントントなスラング:anorak


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TENTONTOエンタメ部 第32回

こんにちは。TENTONTOメンバーのYutaniです。

エンタメ部のコーナーでは、海外のスラング(隠語)をキーワードに、多くの人と感覚の違いをもって暮らす人=テントントさんの生活について考えてみる企画をお送りしています。題して、「テントントなスラング」

今回ご紹介するのはイギリス英語のスラング。日本でもよく着られている、ある「服」にちなんだスラングです。


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【anorak / 名詞 / ある物事に強いこだわりを見せる人のこと】

「アノラック」。日本でもウィンドブレーカーの一種を指す言葉として定着していますが、イギリスでは、鉄道マニアの人が好んで着用するとされていることから、転じてマニアの人そのもの、「ある物事に強いこだわりを見せる人」という意味のスラングとしても使われています。

なぜ、「マニアの人はアノラックを好んで着る」のか。あるいはなぜそういうステレオタイプが広まったのか。その理由はハッキリとはわかりませんが、おそらくアノラックがとても機能性の高い衣服だということが関係しているのではないでしょうか。

アノラックは防寒着なので、厚手で丈夫に作ってあって、寒さや雨風に耐えます。ポケットが複数ついていることも多いようです。外で活動する際にとても機能的な服だと言えるでしょう。

「強いこだわり」をもつ人たちは、そのこだわりの対象以外のことには極力、注意や時間を注ぎたくない、という気持ちを抱きがちなのではないでしょうか。かと言って、自分の健康に悪影響があったり(つまり、寒さや雨風で凍えてしまったり)、社会のルールから極端に逸脱するような風貌になってしまうのも問題です。

「こだわりに情熱を注ぎたい」「健康と社会のルールはある程度尊重したい」。この2つの条件を満たせる答えのひとつが「それ一着で事足り、屋外での機能性が高く、丈夫で、適度に外見を整えてくれるような服」であるアノラックを着ることなのかもしれません。特に、屋外で列車を撮影したりといった場面では、アノラックの丈夫さと機能性はとても重宝されるのでしょう。このスラングの用法が生まれたイギリスという国が高緯度、つまり比較的気温が低くなることとも関係がありそうです。

自分の興味対象に集中し過ぎるあまり、注意の切り替えがなかなか効かず、それ以外のことを軽視してしまうというのはASDの方にも起こりがち。僕はBAP(幅広い自閉症の表現型)の当事者ですが、細部にこだわりすぎるあまり、より大事なことをおろそかにしてしまうことが時々あります。自分ではあまり自覚していませんが、ファッションに関しても、同じことが起こっている場合が恐らくあるんじゃないかな、と思っています。

自分のあらゆる要素を客観的に見つめる。なかなか難しいことですが、上手くいく方法を探していきたいものですね。