「自閉症は、世界を見るための方法のひとつにすぎない」ASDの庭師・Alan Gardnerさん
Y = ユース(青春)
熱い思いを胸に活動する、テントントさんのハートフルなチャレンジ。
テントントさんがやってみたコト 第13回
TENTONTOメンバーのYutaniです。多くの人と感覚の違いを持って暮らす人=テントントさんのうち、感覚の違いからの問題に立ち向かう活動をされている方々をご紹介しているこのコーナー。第13回では、自閉症スペクトラム障害(ASD)をもつイギリスの庭師・Alan Gardnerさんをご紹介します。
Alanさんはイギリスに住む55歳の男性です。庭師としての評価は大変高く、イギリス王立園芸協会(RHS)主催のChelsea Flower Show 2013 では銀賞を受賞。イギリスのTV局Channel 4によりレギュラー出演の番組も制作され、「The Autistic Gardener(自閉的な庭師)」のタイトルで放送されました。
今回は、イギリスのメディアThe TelegraphによるAlanさんへのインタビュー記事の内容を日本語訳でお届けします。
‘Autism isn’t a condition, it’s just a different way of seeing the world’ – http://www.telegraph.co.uk/men/thinking-man/11752863/Autism-isnt-a-condition-its-just-a-different-way-of-seeing-the-world.html (2015.1.22)
「自閉症は『症状』じゃない。世界を見るための異なる方法なだけだ」
Channel4の人気園芸番組「The Autistic Gardener(自閉的な庭師)」に出演するAlan Gardnerが、アスペルガー症候群の診断が彼の人生に与えた影響について語った。
(中略)
Alan Gardnerは、人々がもつASDへの先入観を変えている。彼は、そうした状態をもつ大人としての生き方について我々に話してくれた。Alanには18のASDの兆候のうち14が見られ、ASDの中でもアスペルガー症候群に苦しんでいる。
しかし、この表現は完全に正確ではない。Alanは、ある側面においては「苦しんでいる人」ではないからだ。
彼は笑いながら、冗談を交えながら話してくれた。自分の人生を話すのが大好きなように見える。「ちょっとヘンだけど、僕が診断を受けたのはたった2年前なんだ。学校にいたときは、自分は変わり者で、ちょっとオタクっぽくて、勉強の出来はあんまりよくない、それだけだと思ってた。それが症状だって聞いても、全然ショックじゃなかったな」
「けど、それは『症状』でもなかったんだ。世界を見るための異なる方法にすぎなかった」
自閉症は、心身ともに影響を与える。我々「定型発達者」(これは、自閉症者が嬉々として、我々をほとんど軽蔑する際に使う言葉)が何とも思わない、日々の細かい仕事をやることにも。
(中略)
「自閉症をもつ人の成功への道はね…」彼は指摘する。「ヘンリー・フォード、スティーブン・スピルバーグ、チャールズ・ダーウィン、アルベルト・アインシュタイン。彼らの心は強く駆り立てられて、それぞれの分野を極めるぞ、っていう風に集中していたんだ。もし、アスペルガーをもつ誰かが総理大臣になろう、って決めたとしたら、僕ならうまくいく方には賭けないな」
Alanは明らかに、彼にとってのニッチを見つけた。フォードにとっての車であり、スピルバーグにとっての映画であるものを。彼は、自分のもつ並々ならぬ才能のすべてをガーデニングに注いだ。「絶えず考えをめぐらし、計画を立てることは、僕をとても魅了した。変わらない一つの目標が、僕が自分の頭の中で溺れることを防いでくれたんだ」
(中略)
Alanは、ASDのスティグマを取り除きたいと思っている。彼が、その染めた髪について訊かれるときも、「明るい色と、模様が大好きなんだ。」と答えるだけだ。彼らがどう思うかは気にしていない。これが、Alanが自閉症の大人たちに広めたいメッセージでもある。「立ち上がって、声を上げよう」というメッセージだ。
野望や野心は、「定型発達者」だけのものであるべきではない。Alanはそう信じている。
今回のインタビュー記事を読んで、イギリスでは日本と比べて、発達障害当事者の発言が公平に取り上げられる場所や、その能力を発揮し、評価される機会が確保されていることを実感しました。イギリスでは、自閉症や発達障害に対する人々の理解や関心もまた、大きいのかもしれません。
ASDの中で、アスペルガーをもつ人は、ある特定の能力が他の能力と比べて突出して高いことが多い、とされています。私の見る限りだと、当事者の人が自身の能力の中で尖った部分に自覚的でなく、逆に周りと比べて劣っている部分にのみ目を向けてしまい、自分そのものを劣った存在だと見なしてしまうことも少なくないように思います。
ASDの人が自身の能力を支障のない形で均一化するのは不可能だというのが私の意見です。自分の突出した部分を自覚して、その部分を集中的に磨くことが、本人にとって最も有用な方法のひとつなのではないでしょうか。
その他関連Webサイト・記事
http://www.alangardnerdesign.com/