コラム：時間感覚とオンタイムと時事性
O = オーダー（秩序）
なかなか理解されない「自分ルール」にも、なにかヒントがあるかも。
センサリーデザイン最前線 第７回で取り上げた「時間感覚」の違い。この違い、実はASDやADHDをもつ人の日常生活にとって、とても大きなものかもしれません。
ASDとADHDをもつ私。時間通りに集合するのがとてもニガテです。失敗を重ねても、ぎこちない形でしか時間通りに動く自分を作り出せません。友人からは、集合時間のすごく前に着くか、ぎりぎり遅れてくるかのどちらかだと言われたことがあります。時間通りに間に合う必要性が高く、それに対して集中し過ぎると前者の状態。逆に過集中の疲労で疲れてしまうのがまずい場合、電車が遅れたり信号が変わらなかったりといった要因に楽観的、注意欠陥になりすぎて、後者の状態になるのだと思います。
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ニュース、イベントなど時事的な事象もニガテです。情報の「更新」が苦手なので、常に刷新されるタイプの政治や経済の話題には集中力が続きにくい。これは小噺の難しさに繋がることがあります。相手の知らないマニアックな情報を述べることしかできない上に、最近話題の〇〇については、余程の大事件でない限り記憶に留めていないからです。
また私は吃音を持っているので、会話のやりとり（特に電話）で何かの名前を述べたり、閃いた言葉が出てこなかったりして、自分のリズムで言葉を発することがヘタです。会話の間が悪いので、間の良さや、端的に述べるスマートさで仕事を評価したり、遊びを楽しむ世界からはいつも遠くにいます。そのような機会から離れると、何かに合わせてそれに乗ることの練習がとても少なくなります。例えば、皆とわいわいつるまない→皆で遊ぶ球技をしない→ボールを扱うことに不得手を感じる→球技のときの「間」にも合わせられない、となってしまい、より間が悪くなっていきます。
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去年の夏、友人に誘われて、ほとんどやったことのない卓球を遊びこむということをしてみました。当然とてもヘタでしたが、奇特な友人が６時間もぶっ通しで付き合ってくれました。やりこんだ後には、私が永遠にたどり着かないと思っていたようなボールを扱う技術が身についていました。間の悪さは生まれつきのものと思っていましたが、単にやっていないからできないことも多いのだと実感しました。
つまり、過集中を間の良いようにすることへ向けると、できることもある、ということです。私の場合、「吃音がある→会話が苦手→球技が苦手」のような苦手の連鎖は止められることと、その止める過程も比較的愉快であること。今後もそのままの自分という視点から、感覚や意識について考えていきたいと思います。
ユミズ タキス