発達障害者にセンサリーはどうして必要か ― 思うところを正直に書く人として ⑤

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センサリーという言葉は、感覚に関連する、または関与する、という意味です。人々の暮らしの快適を作り出すために必要なセンサリーデザイン。万人に求められるもののはずですが、そのアイデアが既に存在するモラルやマナーに則していない場合、ぶつかり合いが起こります。

発達障害者の支援にあたって生じている壁も、誤解を解くことを重ね突き詰めていったあとに残るのは、既に存在する社会秩序との折り合いの部分になります。

その意味で、発達障害者のためのセンサリーの社会適用について考えることは、発達障害者支援のあり方の根幹の部分を考えることにも繋がります。


 
発達障害者は人数が少なく、社会常識に疎く、しかも口下手、共感を得やすい形で表現することが苦手です。これは民主主義社会において大きなディスアドバンテージになります。

真剣な感覚の違いに関する悩みも、冗談のように取られたり、言葉の裏を探られたりして真に受けられないことがほとんどです。

それだけでなく、発達障害者の中には統合失調型PD(スキゾタイパル)の行動や言動パターンを併せ持っている場合もしばしばで、二次障害としての精神障害の併発もままあります。その場合は主張の内容以前に「頭が痛くなることを言われて困らされた」という悪い印象しか持たれないこともあります。

困っている人がいても、助けるせいで自分が困ることになるのなら助けない、という人がほとんどではないでしょうか。
 
 

発達障害当事者としてできることを考えてみます。高知能者であれば、自らの抱える感覚の違い(各人でさまざまに異なります)を自分の力で切り分け、解き明かし、まとまった形で建設的な意見を述べることです。

意見を述べるのにも集中力が要るので、集中できるようなセンサリーな環境を自分の暮らす場所で実現していく必要があります。人目を気にする必要のない自分の部屋から改善していくのです。

発達障害の話題からは外れますが、漫画家・浜田よしかづ氏の作業環境が特異だという趣旨の記事を読みました(→完全デジタル化って次元じゃない、作画環境の壮絶な変遷──「つぐもも」浜田よしかづ先生インタビュー – Engadget 日本版)。

記事の中で、より効率的な作画のために試行錯誤を重ねられたことが伝えられていますが、このように精力的な住環境改善が行なえれば、非定型な能力をしっかりと発揮できるだけでなく、そこから発達障害者にとって必要なセンサリーの要素をまとめたり、伝えはじめやすくもなるでしょう(→マンガ:アスペ恐竜ダイナ)。
 
 

センサリーのある社会のためには、当事者ひとりひとりの透徹な知見の発信が重要な意味を持つのです。
 
 

次回へ続く
 
 

ユミズタキス
 

(次回は2019/8/11の更新予定です)