信じる者は救われない?発達障害当事者が考える「いじめられる3条件」

20241030
こんにちは、Tentontoのユミズです。たまにはZINEらしいテーマのコラムを自分も書きたいと思い題材を探していたところ、気になる事件が。
時折チェックしていたとある芸事のX界隈で、自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある方が炎上、というかいい歳していじめっ子らがいじめられっ子的なその人をいじめている構造を見かけました。
これについて、システム化指数(SQ)高めな発達障害当事者として、その仕組みに感じたところを述べてみたいと思います。
 

 
発達障害者がいじめられやすいかやすくないかで言えば、まず間違いなくいじめられやすい存在ではあると思います。

先にいじめる側について考えると、いじめっ子的にいじめのような傷つけを繰り返す人は、誰かを攻撃することで傷つく他者に心を痛められない、心が貧しい人では常にあるでしょう。
炎上の件でXを調査してみても、心が貧しい状態にある人(いじめっ子)はいじめる矛先(おもちゃ)を常に探しており、陰湿にいじめっ子同士で集って、何か起こらないか目を光らせながら日々を過ごしているようです。

いじめる側を心が豊かにできればいじめは減らせるわけですが、混迷の時代においてそういった俯瞰的視野でもって行動できる人は多くなく、ケアが行き渡らずにそのままになってしまっているという現状はあると感じています。
 
 
次にいじめられる側について見ていきましょう。
先ほど述べたそういった事情もあり、穏やかに過ごすためにはいじめっ子の目の光らせに引っかからないように暮らす振る舞いが必要になるわけですが、いじめられっ子はその振る舞いを仕損じている人と言えるでしょう。

個人的に、いじめのターゲットに選ばれてしまう人は、これから述べる3つの条件が揃っていると感じますので、ひとつひとつ述べていきたいと思います。
 
 

1.停滞もしくは下降している印象を与えている

いじめが自分より弱い存在を蹴散らすという動物的行動である以上、いじめの対象になる人は、何らかの価値観において停滞もしくは下降している印象を与えている場合が多いです。
この点については、停滞や下降を選ぶようなひねくれ病んだ状態はマズいにしても、上達の過程においてでさえプラトー(なかなか上達しない時期)やスランプ(一時的に成績が振るわなくなる時期)が訪れるのは科学的に分かっていること。
ですので、たまたまそういう時期に露出する機会が訪れてしまい、そういった印象を与えないように振舞いきれなかった場合は条件を満たしてしまうでしょう。

発達障害者においては、定型発達者のぶつからない壁に沢山ぶつかることになりますので、そのぶんプラトーやスランプに陥りやすく、また興味関心も定型者とズレるために要求される上達要件が目に入っていない場合もあり、条件を満たしやすいと言えるでしょう。
 
 

2.他者の意見を汲めず崩されない状態にある

自分の大事と感じている物事について思いを馳せすぎて一杯一杯になっている場合や、発達障害傾向による文脈盲や注意欠陥により話を聞き取ることが難しかったりする場合など、外部からの影響に崩されにくい状態にある人はいじめの対象になりやすいと感じます。
他者からの意見があった際、言葉を重く受け止めてそこに至った背景を想像できるだけの想像力を常に発揮できればこのような状態にはなりませんが、それが行えない状況で人目に触れるところに出てしまっている場合、いじめっ子から衝突されやすくなります。

発達障害者においては感覚過敏による体調不良も重なりやすく、1つ目の条件と合わせて回避が難しい傾向にある要素だと思います。
 
 

3.何かしらを信じきって行動している

弱い、弱っているという状況にあるという先程2つの条件と比べると、この条件は少し特殊な位置にあります。
何かを信じきることで(信仰のような力によって)精神力を高めて物事に取り組むような人である場合、その行動が強さを生み出している間は良いのですが、そうでもない状況に陥ってしまうといじめられやすいです。
理由としては、裸の王様の寓話のように、何かを信じきった上で失敗している人は行動が行くところまで行ってしまうので滑稽さが目立ちやすく、今風にいえばバズる傾向にあるからです。
それだけ心の貧しい人々から発見されやすく、おもちゃとして楽しませやすいと言えます。

発達障害者においては、このあたりに自覚的な人と無自覚な人それぞれいる印象です。
生得的な障害傾向というよりは、成長過程において信じきることを是とするコミュニティの影響が強いかどうか(または全く信じないコミュニティで過ごしそれを反面教師にしすぎたケースもある)で決まっているように感じます。
 
 
3つの条件を詳しく述べてみましたが、この3つがビンゴになったとき、人目のつくところにいればどこからともなくいじめっ子がやってきて、心が貧しいがゆえにできる様々な攻撃が我が身に降り注いでくることになる、というように個人的には考えています。

まとめますと、
いじめの根本原因は心が貧しい状態にあるいじめっ子へケアが行き届いていないことにあるが、そういったいじめっ子が存在してしまう社会である以上、彼らからの攻撃性が自分の身に降りかからないよう、
いじめられる3条件(1.停滞もしくは下降している印象を与えている、2.他者の意見を汲めず崩されない状態にある、3.何かしらを信じきって行動している)全てを満たさないよう気をつけて過ごすことが肝要、というのが本記事でお伝えしてみたかったことです。

特に「3.何かしらを信じきって行動している」については、発達障害者であっても思慮深さを重視するよう常日頃から思考を変えられれば、いつどんなときでもこの条件を満たしにくくなると思いますので、いじめ被害に遭って大変な方は実践してみてはいかがでしょうか。
 
 
ユミズ タキス

(※冒頭の写真は図書館に行ったときに撮ったものですが、本記事とは直接は関係ないものの、3つ目の条件を満たさないようにするために読書は有効と感じています)
 
 
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